すでに繰り返し和解を申し出ているロシア
《資料2》正直な話、これは米国のロシアに対する戦争だ
ケネディJrは、ウクライナの戦争について、あちこちでより詳しく見解を述べている。以下は、「モダンディプローマシー」5月8日付に掲載されたものの抄訳である。上記の選挙アジェンダでもウクライナに触れているが、インタビューの場合は一層具体的で言葉も生々しいので、彼の考えがより鮮明に読み取れる。「ウクライナに関して、どうしたらいいと思うか」と問われて、彼は語った。
ロシア側はすでに繰り返し和解を申し出ている。〔2014年の〕「ミンスク合意」を見ればよい。そこでロシアは和解を申し出ていて、それは今日もなおまことに良い取引のように見える。正直な話、これは米国のロシアに対する戦争なのだ。実際、それによってウクライナの若い盛りの者たちが犠牲になって殺され、またネオコンどもの地政学的な野望を満たすためのウラジミル・プーチンに対する「体制転換」とロシア軍の崩壊を目指しての破壊が繰り広げられている。そうすれば、ロシアは世界の別の場所で戦争することなどできなくなる、という訳だ。
バイデン大統領は彼の企図がプーチンの駆除にあると言った。彼の国防長官のロイド・オースチンは22年4月に、我々の目的はロシア軍をイグゾーストすることだと言った。イグゾーストだと?〔ロシア軍を疲れ果てさせ、限度を超えて二度と立ち上がれないところまで追い込むという意味だが、それを戦争目的にしたのでは〕ウクライナ人をロシア軍の前に投げ出すようなものだ。ウクライナ軍のエリートである特殊部隊の司令官は、彼の部隊の80%が死傷しもはや編成が不可能だと言っていた。現在、ロシア軍はウクライナ軍に対し5対1、ないし8対1の比率を保ってウクライナ人を殺して続けている(どの統計を信ずるかにもよるが)。
ミンスク合意を見れば、そこでは最終的な和解のための基礎が設定されている。ドンバス地方の住民の80%は少数民族としてのロシア人であり、彼らはウクライナ国家の中で自治権を持ち、保護を受けることになっているが、現実にはウクライナ政府はロシア人を組織的に殺害してきた。
わが国は、ロシアとの国境から70マイルの地点から、核搭載可能なトマホークを収めたイージス・ミサイル・システムを撤去する必要がある。かつてロシアがキューバに核ミサイルを搬入した時には、キューバはワシントンから1,500マイルの距離があるけれども、我々は進攻の準備をし、もし彼らが撤去に応じなければ本当に進攻しただろう。その上で、私の伯父と父はフルシチョフと直接話をし、「我々はトルコのロシアとの国境にあるジュピター・ミサイルを撤去する。貴国にとってそれが我慢できないものであることは分かっているから」と取引を申し出た。
ロシアは最近の数百年間に〔ナポレオンとナチスドイツによる〕2度の侵略を受けているので、国境に敵対的な国の核ミサイルが置かれることは望まない。だから我々は、ロシアが求めてきたように、NATOをウクライナから外に出すことについて合意しなければならないだろう。これらのポイントを押さえれば、私でも誰でもこの戦争を和解させることができるだろう。
この記事の著者・高野孟さんのメルマガ