あまりにも無防備。日本が韓国に半導体のシェアを奪われたワケ

 

日本は半導体の技術を韓国に丸々提供した

こうした過程の間隙を縫って、台頭してきたのが韓国のサムスン電子なのです。当初、日本はサムスン電子のことなど、まったく眼中に置いていませんでした。「サムスン電子が日本やアメリカの半導体技術に追いつくにはまだ時間がかかるだろう」と踏んでいたのです。

現代日本の「高純度フッ化水素」などの技術と同様の意識を持っていたのです。そのため日本企業は愚かなことに、サムスン電子に大っぴらに技術提供さえしていたのです。

1996年に、日本は国内の主要な半導体メーカーが集まって、半導体先端テクノロジーズ(Selete)という研究開発企業を起ち上げました。メーカー各社が独自に研究するのは開発費のコストがかかりすぎるということで、通産省が音頭をとり、日本の半導体産業を復権させるために、企業の垣根を超えて協力し合おうということになったのです。

この半導体先端テクノロジーズ(Selete)当時の日本の半導体の主要メーカーだった、東芝、ソニー、シャープ、富士通、日立、松下、三菱電機、NEC、沖電気、サンヨーの10社が、5億円ずつ均等出資することによって設立されました。各企業の研究者、技術者が一か所に集まり共同研究開発を行う、という「日本の半導体技術のすべてが結集された企業」だったのです。

が、信じがたいことに、この半導体先端テクノロジーズ(Selete)には、その後、なぜか韓国のサムスン電子が「研究開発委託」という形で参加したのです。なぜ日本国内メーカーの競争力を高めるために、日本の技術の粋を集めてつくった研究企業に他国の企業を参加させたのでしょうか?

日本企業としては、下請け企業としてサムスン電子を使おうと考えていたのですが、サムスン電子は日本企業が思っている以上に技術模倣が進んでおり、日本企業が設備投資に躊躇している間に大掛かりな設備投資を行い、あっという間に日本企業を追い越してしまったのです。

お人よしにもほどがある、ということです。「ひさしを貸して母屋を取られる」とはまさにこのことです。またこのことは、当時の日本企業がいかに、韓国企業を甘く見すぎていたかということでもあります。日本企業の脇の甘さを象徴しているといえます。

この半導体先端テクノロジーズ(Selete)への参加が、サムスン電子にとって大きな飛躍のきっかけになったことは間違いないのです。次回は、韓国の産業スパイと日本企業の脇の甘さについて述べたいと思います。(一部抜粋)

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