広島をウクライナへの武器供与の場にした岸田首相
以下の部分も、核不拡散を謳いながら、つまるところは、1967年の時点ですでに核兵器を保有していたアメリカ、ロシア、イギリス、フランス、中国の5カ国、いわゆる「核クラブ」の既得権を主張するこれまで通りの論理である。
核兵器不拡散条約(NPT)は、国際的な核不拡散体制の礎石であり、核軍縮及び原子力の平和的利用を追求するための基礎として堅持されなければならない。
もとより筆者はプーチン氏や習近平氏といった独裁者は大嫌いである。かといって、ゼレンスキー氏への支援ならすべて正義だというつもりもない。核兵器使用をちらつかせて威嚇するロシアを非難するのは当然だが、一方では、平和希求のシンボルでもあるヒロシマをウクライナへの武器供与の場にし、核廃絶を祈る被爆者の心を置き去りにしてしまった。その意味で、招待者としての岸田首相の責任は重い。
岸田首相は昨年6月、スペインでのNATO首脳会合に出席した。NATOもまたロシアや中国への対応を念頭に、連絡事務所を東京に開設する予定だ。そして岸田首相は今回、NATO加盟の国々とともにロシアに敵対する態度を鮮明にした。防衛費を大幅に増やし、敵基地攻撃能力のあるミサイルを導入することも決めている。
「平和主義を放棄し、自国を真の軍事大国にしたいと望んでいる」という米タイム誌の“岸田評”は決して大袈裟とはいえない。日本国民を取り巻くリスクはますます高まっている。
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image by: 首相官邸









