数年前から巻き起こっている“サウナブーム”。いわゆる「ととのう」といった状態になれることもあってか、近年は健康意識の高い人々からも注目されており、医師監修のサウナ本も多く出版されているようだ。サウナ活動を略した「サ活」という言葉も生まれている。
しかし、こうしたブームをよく思わないサウナ愛好家も多いという。
「上司がうざい」をなぜサウナ室で言う必要があるのか?
20代の頃から町の銭湯サウナに通い続けている48歳の男性はこう話す。
「ここ数年でマナーの悪い客が増えてしまいましたね。3~4人で来て、狭いサウナ室でべちゃくちゃ話すのは当たり前。〈黙浴〉〈私語禁止〉の張り紙も見えていないようです。今は貸し切りサウナもあるんだから、そっちに行けばいいのにと思います」
男性は「もともと、1日の疲れを癒しにサウナに行き始めました」と語る。そして「今の子は違うんでしょうね」と続ける。
「ブームだからという動機だけで、仲間と来ているんじゃないかな。若い子たちってサウナ室で〈上司がうざい〉〈今の会社は終わってる〉〈学校だるい〉のような話をしていることが多いんですが、それらの“ストレス”を忘れるために、サウナって存在してるんじゃないですか?熱い部屋に入ってジッと我慢して座り汗をかく、そして水風呂に入る。この一連の流れに非日常があり、これがサウナの魅力。どうしてわざわざ、日常の愚痴を吐くのか。それを聞かされる赤の他人の気持ちも考えてほしいなと思います。頼むから居酒屋でやってください」
いちいち「汗やべぇ!」とか発信するんじゃないよ!
同じく銭湯サウナを愛する40代の男性も、サウナ室での若者の言動に怒りの声をあげる。
「数人で来るやつらは、本当にサウナに入りたくて来ているのか疑問だよ。だって〈そろそろ出る?〉とか相談して一緒に出ていくでしょ。あのね、そんなことは自分で決めなさいよと。入りたいだけ入って、出たかったら勝手に出なさいよっていつも思う。後、数人で来る人間はいちいち当たり前の感情を吐き出すのも腹が立つ。〈やべぇ…あっちぃ〉じゃないよと!〈汗やべぇ!〉じゃないのよと!そんなのサウナなんだから当たり前だろと言いたいね」
そう捲し立てる男性だが、「何もすべてのサウナで黙っていろというわけじゃない」と持論を展開する。
「例えば、食事処があるような“スーパー銭湯”のサウナでは、限度を超えない範囲でのお喋りは俺はいいと思うのよ。あそこはレジャー施設としての顔もあるから、仲間内で楽しむのはアリだと思ってる。ただ、銭湯サウナは違う。銭湯は老若男女が公平なところで、そこには“気遣い”の文化がある。そんな当たり前のことが意識できていれば、普通は周りに配慮しない行動は取らないと思うんだけどなぁ」