同時にどんな特性があってもインクルーシブに学び、働こうとしている社会にあって、合理的配慮はその違いの接点を埋めようとする取組であり、企業も学校も、方針の中に組み入れられるべきテーマである。その配慮が難しい場合には、適切な場所に誘うのも教育機関の責務であり、合理的配慮の一環。さらにこれは企業や教育だけではなく、障がい者を支援する福祉サービスも注意するべき内容だろう。
例えば働く上での「障がい」を適切に対応することで企業での就労を支援する就労移行支援事業所でも起こる可能性は高い。支援の必要な人が幾多の福祉サービスの中から、自分の合った事業所を選ぶ時に、そこには必ず希望が含まれている。
当事者の決定を最大限に尊重するのが、障害者総合支援法の基本であり、現在の福祉サービス提供の前提。その希望を具体的に事業所と関係者で推し進めていく中で、ちょっとしたずれが生じた場合、経営方針を理由とした当初の説明と異なる場合は、適切な伝達が必要だ。この作業を怠り、当事者が「こんなはずではなかった」のケースは少なくないと思われる。
先ほどの学校のケースでは、自らが声を上げられない中学生の事案であればなおさらに、一方的な通告が凶器にもなることを当局は知るべきであろう。支援する側も常に、声にならない声に耳を澄ませながら対話をし、支援をすることがやはり基本であると思い知らされる。
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