…管理か? それとも自由か? 施設にとって転倒による骨折や、誤嚥による誤嚥性肺炎は、命につながる問題なので、どうしたって神経質になる。女性が指摘するとおり、どんなに介護スタッフが「本人の自由」を尊重したところで、事故が起これば家族は騒ぎ立てます。
「見守りカメラ」は事故を未然に防ぐ手立ての一つになるかもしれません。しかし、管理より大切なのは、たとえ転んでも骨折や怪我につながらないようにする足腰のリハビリの徹底です。
実際、デンマークなどでは「リエイブルメント(Re-ablement、再び自分でできるようにする)」を根幹とする高齢者対策を徹底し、すべての地方自治体に高齢者へのリハビリ実施を義務付けています(重度で複雑な機能低下のある高齢者も含む)。
80歳以上の人たち全員を対象に「何も起きていなくても訪問する」という予防的な自宅訪問を実施しているのです。
その背景にあるのが「人は最後まで自分のことは自分でやりたい」という価値観の共有です。
「高齢者=ケアをされる人」ではなく、「人(高齢者を含む)=自分で決めたい」という人間の本性を尊重し、そのために必要なことは何か?何をすれば自分で決めらるのか?を、国民の一人一人が考えた結果としての高齢者対策が実現されているのです。
日本は超高齢社会とどう向き合っているのか? これからどう向き合おうとしているのか? 日本が人生の最終章で、大切にする価値観とは何か?
超高齢社会のトップランナーとしての「日本の介護」のあり方に、世界中の国々は注目しています。管理か? 自由か? 自由を担保するには、何が必要で、どこまでの自由なら許されるのか? という大きな視点で、見守りカメラについても議論を進めてほしいです。
みなさんのご意見、お聞かせください。
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