大きなストレスではないけれど、ちょっとだけイラっときたりすることってよくありますよね。今回は、MBAホルダーで無料メルマガ『MBAが教える企業分析』の著者である青山烈士さんが そんな小さなストレスに目を向けて開発され、文具総選挙で大賞をとった「一冊でも倒れないブックスタンド」の開発と戦略について紹介しています。
ストレスを感じる瞬間に着目
今号は、文具総選挙2023で大賞を受賞したブックスタンドを分析します。
● 事務用品の製造販売を手掛ける「リヒトラブ(LIHIT LAB.)」の「1冊でも倒れないブックスタンド」
既存の本棚やブックスタンドにストレスを感じる方をターゲットに、「自由な発想力」に支えられた「1冊でも倒れない」等の強みで差別化しています。
本棚から本を抜いた時のストレスを解消するアイテムとして注目を集め、文房具総選挙で大賞を受賞したことで、人気に拍車がかかっている。
■分析のポイント
本棚から本を抜いた時に残っている本が倒れてしまうのが嫌だと感じたことがある方は少なくないと思いますが、そのストレスを解消できるのが、今回、紹介する「1冊でも倒れないブックスタンド」です。
今回のポイントは、ユーザーのちょっとしたストレス(感じるのは一瞬)に着目し「立てる収納」を追求しているということです。
本棚から本を抜いた時に、横の本が倒れて、イラっとするのは一瞬ですよね。気にも留めない方の方が多いと思いますが、そういったところに着目できるかが、商品開発の肝となるような気がします。
本棚に本が多く入っている状態では、倒れにくいですが、本が少ない状態ですと、倒れやすくなってしまいます。
つまり、本が少ない状態では本棚に本を立てて収納することが難しいわけです。
ですので、倒れることにストレスを感じる方は、諦めるか、本を横積みにしてしまうことになるのではないでしょうか。
そうした結果、本を横積みになっている状態がストレスだと感じる方もいると思いますし、本や書類は立てて収納したい方が多いことを「1冊でも倒れないブックスタンド」の人気が示しているわけです。
また、「1冊でも倒れないブックスタンド」は、本だけでなく、CDやDVDも立てて収納することが可能です。
この立てる収納にこだわった結果として、立てたくても立てられない不満を抱えていた多くのユーザーの共感を得ることができたのでしょう。
一方で、倒れにくい状態、本がいっぱい入っている本棚には不要かというとそうでもありません。
本がいっぱい入っている本棚ですと、図書館が思い浮かびますが一度抜いた本を元の場所に戻すことは意外と難しかったりします。
「1冊でも倒れないブックスタンド」の場合、本を抜いた場所が一目瞭然ですから、迷うことなく、元の場所に戻すことができます。
立てる収納へのこだわりが、プラスαの価値を創出することにつながっている、ということです。
整理された状態の気持ちよさが、ずっと続くということは本好きにとってはたまらない価値と言えるのではないでしょうか。
今後、「1冊でも倒れないブックスタンド」がどのように拡がっていくのか、注目していきます。