アベノミクスの大罪。世界企業ランキングで日本が中国に“惨敗”の残酷な現実

 

完全に入れ替わった中国と日本の立場

2023年版でランク入りした企業の国別の数では、米国は変わることなく最多で136社であるのに対し、それに拮抗しているのは中国の135社。日本は中国に次ぐ第3位に留まっているとはいえ、企業数は41社にすぎない。日本と中国の立場が完全に入れ替わってしまったのである。

マラソンに例えれば、トップ集団を米中が形成して熾烈な優勝争いを繰り広げていて、それから大きく引き離されて第2集団を成しているのが日本、ドイツ、フランス、イギリス、韓国などであり、その中では日本が先頭にいるのは確かであるけれども、そこから抜け出してトップに迫ることは到底期待できないという有様である。

《図表1》

今年のフォーチュン500の国別企業数・売上高の上位20

 

順位 国名    企業数(シェア) 売上高=100万ドル(シェア)

01 米国   136(27.2%) 13,035,957.2(31.8%)
02 中国   135(27.0%) 11,248,729.9(27.5%)
03 日本     49( 9.8%)   2,773,820.3( 6.8%)
04 ドイツ    30       2,491,164.3
05 フランス   24       1,707,890.9
06 イギリス   15       1,274,333.2
07 韓国     18       1,138,825.1
08 スイス    11        757,741.9
09 カナダ    14        654,242.9
10 オランダ   10        667,565.6
11 サウジアラビア   1        603,651.4
12 インド   8        596,184.5
13 ブラジル  9        532.670.1
14 台湾    7        494,357.0
15 イタリア  5        446,510.6
16 シンガポール  3        431,710.9
17 スペイン  8        421,534.3
18 ロシア   3        257,557.5
19 メキシコ  3        194,742.7
20 マレーシア 1        85,365.4

 

  総合計  500      40,956,576.0

この順位は、ランク入り企業の国別の売上高合計に従っているので、第11位のサウジや第20位のマレーシアのように巨大な国営石油会社1社しかランク入りしていないのにここに入ってくる国がある。第18位のロシアや第19位のメキシコも似たようなもので、ロシアは3社がランク入りしているとはいえ、独り気を吐いているのは企業別で世界第41位の超巨大国営石油ガス会社ガスプロム1社だけで、後は世界的には無名の銀行と小売業である。メキシコも、企業別で世界第80位の国営石油会社ぺメックスが突出している。いわゆる先進国でも、イタリアはランク入り5社のうち圧倒的に大きいのはいずれも半国営の電力・エネルギー会社ENELと石油ガス会社ENIである。

中国に取り返しがつかないところまで広げられた差

ことほど左様に、国別の売上高合計の多寡を見ただけではその国の経済力がどれほどバランスがとれた質的な強さを持っているのかは分からないので、そこを推測するには、それぞれの国のランク入り企業の数の多さとその業種の多様さに注目しなければならないだろう。

ちなみに、1995年にはランク入りした中国企業はわずか3社、企業数で0.6%、売上高合計で0.4%だった。それが2012年には、米国企業の134社に対し日本が68社、中国が74社と、初めて日本が中国に逆転されて第2位の座を譲り、さらにそれから10年で取り返しがつかないところまで差を広げられてしまった。

わずか30年弱でこれほどまでに劇的な大逆転劇がどうして生まれたのか、その正面切った分析にはついぞお目にかかったことがない。私見では、それが出来ていないことが、日本経済の再生戦略が混迷の極へと突き進んでいることの根本原因であり、また中国の台頭への謂れのない恐怖感の蔓延による「中国脅威論≒台湾有事切迫論」の拡散の重要条件ともなっている。つまり、日本人が自分を正面から見つめ直すことができずに、よろず巧くいかないのは誰かのせいだということにして誤魔化そうとする知的退廃に陥りつつあるのをどこで食い止めるかという時に、1つの足掛かりは、この世界企業ランキングにおける日中大逆転の赤裸々な分析にあるのではないかということである。

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