「子ども食堂」は6年で20倍以上に。運営側が悩む資金と行政の壁

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貧困家庭や家庭環境の問題を抱える子どもたちに無料で食事を提供する「子ども食堂」は、全国で年々数を増し、2016年の319か所から2022年には7363か所と、20倍以上になっているそうです。その中の1つ、大阪市中央区にあるレストランで月1回催される「子ども食堂の日」の様子を紹介するのは、メルマガ『ジャーナリスティックなやさしい未来』著者で、生きづらさを抱えた人たちの支援に取り組む引地達也さん。食事から始まって遊びや学びもある「居場所」の価値を認識し、必要な場所に作っていくには、“行政の壁”など克服しなければならない課題が多くあると伝えています。

「食事」がつなぐ地域のぬくもり─大阪市中央区の「子ども食堂」から見える未来

大阪地下鉄の堺筋本町駅からほど近いビルの1階にあるレストラン「25twogo」(大阪市中央区)はこの日、「貸し切り」の案内を出していた。店内からはいつもと変わらない料理のおいしそうなにおいに混ざって子供の歓声が聞こえる。月1回の地域に向けた子ども食堂の日である。

レストランの本格料理が揃うバイキング形式だが、幼い子供は自分で取るのは難しいから、「これがいい」「あれがいい」とスタッフとやりとりしながら夕食がスタートする。メニューはキーマカレー、牛肉の煮込み、塩焼きそば、そしてご飯とみそ汁。揚げ物、サラダや果物、デザートもある。

主催する「公益社団法人JEO・子どもに均等な機会を」(本部・大阪市)の仲恵一郎理事は「きちんとした料理を出すことにもこだわって、外食経験をしていただくのも目的のひとつです」と話す。大阪市中央区の「子どもの居場所連絡会」は中央区社会福祉協議会が事務局を務め、「学習支援教室」「フードパントリー」事業を行ってきており、そこに加わる形で2018年に月1回の子ども食堂が始まった。

周辺はビジネス街であると同時に繁華街も近い。飲食店で働くシングルマザーの割合も高い地域で、外国出身の母親、様々なルーツを持つ子どもも多く、学習支援では「多文化共生」をテーマにしている。

日本財団によると、子ども食堂とは、「貧困家庭や孤食の子どもに対して地域住民のボランティア等が主体となって子どもが1人でも無料で利用できる食事の提供の場」とされている。しかし最近は経済的支援・食事の提供だけが目的ではなく、子どもの心にも焦点を当てて、「団らんの場の提供」とともに居場所の確保、地域とのつながりも意識しての運営が広がっている。

結果的に人が集まる場所には、食事、遊び、学びが発生し、自由でストレスのない「居場所」が増えつつある。NPO法人全国こども食堂支援センター・むすびえの調査によると、2022年のこども食堂は全国で7363か所、2016年の319か所から20倍以上も増加した。

都道府県別では1位が東京の839か所、2位が大阪府の613か所。しかしながら行政が積極的に関与するかは自治体によるところがあり、地域の自発的な取り組みに頼るケースは多い。「25twogo」もJEOを主催としているものの、この会員企業である株式会社ベックの協力があって成り立っている現実がある。

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