はっきり言ってジャニーズ以下。細田博之議長「辞任会見」でわかる自民党の“自浄能力欠如”

 

なぜ細田氏には統一教会との関係への真摯な反省がうかがえないのか

2016年に統一教会が立ち上げた「世界平和国会議員連合(IAPP)」の創設大会が参議院議員会館で開かれ、当時の閣僚5人を含む63人の国会議員が出席した。日本の議員連合の名誉会長が細田氏だった。

細田氏には、国政選挙において、自派閥に関係する候補者への教会票の割り振りに関与した疑惑もある。

統一教会関連のイベントに2020年から3度参加した伊達忠一元参院議長がHTB北海道テレビの取材に語ったところによれば、2016年の参院選で、伊達氏が担ぎあげた全国比例候補、宮島喜文氏(元参院議員)への統一教会票の割り振りを安倍元首相に依頼し、そのおかげで宮島氏が当選したことがわかっている。昨年の参院選では教会票を井上義行氏にまわしたため、宮島氏は出馬をとりやめた。

細田氏は宮島氏の選挙については「一切関わっていない」と言うが、清和会の会長だった細田氏が、伊達参院議長や安倍首相の関与した集票工作について、まったく知らなかったとは考えられない。かつて細田氏は、選挙通で知られた竹下登元首相に「私の次に選挙に詳しい」と評されたことがある。自派閥に関係する選挙のことなら、なおさら詳しいはずだ。

細田氏は安倍元首相と統一教会の関係については、以下のように語り明確に認めている。

「(統一教会と)長い関係があったのは存じ上げている。安倍晋太郎先生や福田赳夫先生や、そういう流れがあることは知っている」

しかし、細田氏自身とは「特別な関係はない」と言い、「これまでも会合に出てくださいと言われれば出たということだ」と、教会とのつながりをなかったことにしようとする。

それほど自信をもって「無関係」を主張できるのなら、なぜこれまで説明を求める記者たちから逃げ回ってきたのか。国会でダンマリを決め込み、野党から不信任案提出の動きがあってはじめて、A4判の紙切れを数枚出したが、教会関連のイベントに8回出席したことや、選挙支援を受けたことなどを列記しているだけで、とても説明といえるものではなかった。

いつ、どのようなきっかけで統一教会と接点を持ち、どのような判断のもとに選挙支援を受け、そのイベントや会合に出席することになったのか。安倍派(清和会)に統一教会と密接な議員が多いのはなぜなのか。そして、統一教会と自民党との癒着関係が政治を歪め、カルト的な活動を野放しにしてきたことを、自民党の実力者の1人としてどう考えるのか。

そのようなことにいっさい言及せず、「特別な関係はない」とひと言で済ませ
ようとするから、逃げの姿勢ばかりが際立ち、疑念が際限なく深まるのだ。

この会見で、奇妙なやりとりがあった。「教団と関係があったことをどう受け止めているか」と記者から問われたさい、細田議長はこう語った。

「安倍晋三元首相が殺されたのと、旧統一教会の問題は全く関係がない…なぜ安倍さんが死ななきゃならないのか。7年間も支えてきた私が、どうしてここでまだ苦労しなければならないのかと、つくづく考えてきた」

誰も安倍元首相の暗殺事件のことなど聞いていないのに、それを持ち出した真意はどこにあるのだろうか。あの事件がなければメディアが統一教会の問題を取り上げることはなかった。あの事件のおかげで、メディアに説明責任を果たせとうるさく言い立てられ、心労が重なって、体調も崩した。そういう思いが発した言葉のように思える。

ひょっとしたら、細田氏に統一教会との関係への真摯な反省がうかがえないのは、事件のとばっちりを受けているという一種の被害者意識のようなものにとらわれているせいかもしれない。だとしたら、とんだお門違いである。

安倍元首相がいなくなり、清和会と統一教会がどのような付き合いをしてきたのかを誰よりも知っているのは細田氏のはずである。洗いざらいぶちまけ、膿を出し切ることこそ、教会との腐れ縁を断ち切る道である。だが、細田氏の記者会見は病気を“盾”にして、いかに答えないかを意図してのぞんだとしか理解できない内容だった。

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