崖っぷちの木原誠二。妻の元夫「怪死事件」告訴状を警察が受理の新展開

 

警察が見つけられなかった「受理しない」正当な理由

7月26日夜、重松部長と刑事部のナンバー2である井ノ口徹参事官、國府田剛捜査一課長が鳩首密議をしたのも、「自殺」とする根拠をひねり出すためのものだった。その結果をもとに8月9日、警視庁捜査一課のW警部が、再捜査を求める安田さんの遺族にこう説明している。

「捜査の結果、部屋の状況やご遺体の状況から、争ったような跡は認められなかったんですね。自殺と考えて矛盾はありません」(文春オンライン)

しかし、繰り返しになるが、地検への「送致」手続きがなされていない以上、法的には捜査が終了したことにはなっていない。刑事訴訟法第246条に、こう定められている。

司法警察員は、犯罪の捜査をしたときは、この法律に特別の定のある場合を除いては、速やかに書類及び証拠物とともに事件を検察官に送致しなければならない。但し、検察官が指定した事件については、この限りでない。

微罪処分として、送致せずに処理することはあるが、強制捜査(捜索・差押え、逮捕など)をした事件については、それはできない。安田種雄さんの事件は家宅捜索を行っているので、送致を必要とする。

今回、警察が告訴状を受理した背景としては、受理しないという正当な理由が見つからないことが第一にあげられる。「事件性がない」という露木長官の発言には何の根拠もない。その証拠に検察への「送致」すらできていない。捜査を途中でやめたことへの現場の捜査員の不満もある。

文春の続けざまの報道とネットでの拡散により、警察への不信感が世間に広がっている。もし警察が受理しない場合、検察に告訴状が持ち込まれることもありうるだろう。そうなると警察の一存では決められなくなる。検察には、厳然として安田さん不審死の事件番号がついた解剖鑑定書が存在しているのだ。

つまり、受理しても困るが、受理しなくても厄介なことになる。それならいっそのこと受理し、正当なやり方に立ち戻るしか方法はない、と考えたのではないか。

官邸のほうも動きがとれないだろう。なにしろ、警視庁刑事部長室での密談が週刊文春に漏れるほど、警察内部には公平性を欠く捜査への不満が渦巻いている。今となってはヘタに手出しができないはずだ。

遺族側の動きをよそに、幹事長代理となってからも木原誠二氏は精力的に岸田首相の参謀役をこなしている。朝一番に首相公邸や官邸を訪れたり、休日に公邸で岸田首相と打ち合わせたりしている。むろん、平静を装いながらも安田さんの遺族の動きは気になっていることだろう。

告訴状の提出と受理についてはテレビ東京が報道したが、今後、警察が捜査にとりかかれば、他の大手メディアも無視できなくなるにちがいない。岸田首相は木原氏を官房副長官から外したものの、幹事長代理として側近に置き続け、政権炎上の火種を残してしまった。リベラル層はもちろん、いわゆる岩盤保守層からも評判の悪い岸田政権。木原氏の心の動揺が、ただでさえ方向の定まらない政策に反映していかなければいいのだが…。

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