アラブ諸国で着々と進む対イスラエル戦争の準備
アラブ諸国はイスラエルとハマスに自制を呼びかけ、これ以上の被害の拡大と戦争の拡大を防ぐために水面下でコンタクトしているとのことですが、イスラエルがそのような声に耳を貸さず、本格的にガザに地上侵攻した場合には、アラブ全体の連帯を示し、イスラエルに対する戦いも辞さないというレベルにまで、すでに準備が進められているようです。
今日からまたアメリカのブリンケン国務長官がイスラエルと中東を訪れる予定のようですが、アメリカ政府もアラブ諸国において高まる反イスラエル機運と戦争への介入・参戦の兆しを非常に懸念しており、何とか思いとどまるように要請するのが目的と聞きました。
仮にこの戦火が周辺諸国まで拡大し、そこにヒズボラ、イスラム同胞団、そしてイラン革命防衛隊などが参戦する事態になった場合、アメリカは自国の安全保障戦略を根本から見直し、再びアメリカ軍のプレゼンスとコミットメントを中東で高めざるを得ないという底なし沼に引きずり込まれかねない恐れがあります。
頑なにイスラエル支援・支持を貫くアメリカ相手に、中東諸国はこれまでにないほど反感を抱き、アメリカ軍のプレゼンスを許さない状況に発展することになると、もう手の施しようのない状況が待っていることになるでしょう。
拡大の一途を辿る悲劇の連鎖を横目に、喜ぶ人物がいるとしたら、それはロシアのプーチン大統領でしょう。
長年の盟友であったネタニエフ首相を切り、世界の目が中東に集中する間に、一気に対ウクライナ戦に決着をつける動きに出やすくなる環境を作ることになっているとも思われます。
実際にそのような計画があったのかどうかは知る術がありませんが、実際にはウクライナの反転攻勢は停滞し、次第にロシア軍に押し返されているという情報が入ってきています。
欧米から供給された最新鋭の戦車や弾道ミサイルも次第にロシアに“対応”され始めており、武器・兵士の量で圧倒するロシアに次第に有利な状況を作り出していると見ています。
ロシア軍はまだ最新鋭の戦闘機もミサイルも使っていませんし、主を失ったワグネルの戦闘員もチェチェンの戦闘員と共に前線でウクライナの攻略に当たる状況は変わらないどころか、強化されており、態勢の立て直しがすすめられているようです。
ウクライナにとって楽観的なニュースも多い中、様々な分析を見てみると、早ければ年末にはウクライナの兵器のキャパシティーはほぼゼロに陥り、長い冬に入ると、ロシアによるミサイル攻撃の集中砲火が行われた場合に対応する手段を持たないという状況になる可能性が指摘できます。
アメリカに比べ、地続きの欧州各国による支援を期待するところですが、ドイツのショルツ首相はすでに向こう見ずな対ウクライナ支援を非難されているうえ、最近、ドイツが誇るレオパルト2戦車がロシア軍に破壊される事例が報じられるにつれ、レオパルト2の信頼性に傷がつきかねないことへの懸念から、これ以上の支援は控えるべきとの声が国内で高まっていることに、かなり苛立っているため、あまり期待ができません。
フランスや英国は、ウクライナを扱うニュースが格段に減り、それを反映するかのように支援も停止または停滞しています。特に英国ではイスラエル問題への政治的なシフトが行われているようで、ウクライナ支援がストップする状況にあるという情報もあります。
アメリカは、バイデン大統領は「イスラエルとウクライナの2面支援は可能」と強気な発言を繰り返しますが、実情は、対ウクライナ支援の増額どころか、継続も議会で承認される見込みは低いとされ、このままだとイスラエル支援に引っ張られる形でウクライナ支援が尻すぼみする状況は避けられない状況です。
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