このままでは「死ぬまで働く」しかない。退職金でも割を食う“氷河期世代”の暗澹たる未来

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年々減り続けていると言われる「退職金」の額ですが、最も厳しいと言われるのが「就職氷河期世代」と言われている40代の人々です。今回のメルマガ『デキる男は尻がイイ-河合薫の『社会の窓』』では健康社会学者の河合薫さんが、名ばかりで実効性のない政府の氷河期世代の救済措置について苦言を呈するとともに、選挙の票を金で買っているだけの政治家に対して厳しい言葉で批判しています。

プロフィール河合薫かわいかおる
健康社会学者(Ph.D.,保健学)、気象予報士。東京大学大学院医学系研究科博士課程修了(Ph.D)。ANA国際線CAを経たのち、気象予報士として「ニュースステーション」などに出演。2007年に博士号(Ph.D)取得後は、産業ストレスを専門に調査研究を進めている。主な著書に、同メルマガの連載を元にした『他人をバカにしたがる男たち』(日経プレミアムシリーズ)など多数。

不安しかない日本の「“老後“の未来」

寿命は伸びる、しかし、もらえるお金は減り続ける・・・・。

「老後」という2文字の重みが、年々増しています。

厚労省の最新の「就労条件総合調査」によると、大卒・大学院卒で35年以上勤務し、定年を迎えた人の退職金(年金と一時金)が22年度は平均2037万円で、2007年の平均2491万円から454万円も減っていることがわかりました。

これまでも大卒者の定年退職者(勤続20年以上かつ45歳以上)の退職金が、最も平均額の多かった1997年(2,871万円)から1,083万円も下がっていると言われていました。

つまり、下がり続けていて、「このままでは、死ぬまで働かなきゃいけないかも」しれないのです。

退職金が減っている理由の一つが、年功序列や年功賃金がなくなり成果主義になったこと。日本が90年代に成果主義を導入した最大の目的はコスト削減でしたが、年収の抑制に加え、退職金を減額する大義名分になっていたのです。

「何年勤務したか?」は変えられなくとも、「成果」はどうにでもなります。

加えて、退職金が払われる時の会社の状況を考慮することも可能です。

さらに昭和の時代にはなかった「運用」を会社がやってる企業型の確定拠出年金もありますから「自分がいくら退職金をもらえるか?」もわからない人もかなりいます。

若い世代の場合は投資が当たり前になってますし、50代以上なら希望退職制度を利用し、割増でもらうこともできる。

しかし、40代はそうはいきまえん。ここでもまた「氷河期世代」が割を食うことになってしまったのです。

氷河期世代は賃金の減少率が他の年代より大きいことに加え、非正規から正社員になった人も多いので、必然的に退職金も減ります。

政府の「骨太の方針」に、退職一時金課税制度を見直しが盛り込まれているので、勤続20年を境に、勤続1年当たりの控除額が40万円から70万円に増額されていたのがなくなる可能性もある。

たまたま、就職する時期の景気が最悪だった、というだけで無限地獄が続くとは、この上ない理不尽です。

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