気候変動よりも深刻なAIの軍事・経済リスク
彼は、AIを搭載した兵器の開発により「豊かな国が貧しい国を簡単に侵略できるようになる」と説明している。AIが攻撃目標を自動的に設定して殺傷するシステムが実用化されれば、戦争を制御できなくなり、被害が野放図に拡大する恐れがあると警告したのだ。
また、地震予知や医療などの分野でAIが人類に恩恵をもたらす可能性があるとした一方で、人間の仕事が奪われ、雇用の減少などを通じて貧富の格差拡大が起こるとの懸念も示した。
ヒントン氏はAIについて、気候変動よりも緊急のリスクを人類にもたらす可能性があるとの立場らしい。
そのために、リスクを最小限に抑えるため、政府機関などが適切に対処し、世界的な開発競争に歯止めをかける必要があるとも指摘したのだ。「現在のAIへの安全対策は不十分。人類は方向転換が必要だ」と訴えたとのこと。
要は、現在のAIへの安全対策は不十分なので、方向転換が必要だよってことだけど、どのように方向転換をすれば良いのか、情報を頼りに変わっていきなさいってこと。まぁ、単なる警鐘の範囲だ。
AIが人間社会を支配する前に『攻殻機動隊』をみよ!?
だから、専門家より、未来を見通している漫画の方がよっぽどイメージが湧きやすい。それが、『攻殻機動隊』だ。論文を書いているときの落合さんより、よっぽどこのYouTube動画の方が面白いと感じる。
● 【落合陽一】ネット社会は20年で『希望のない方に進化してしまった』『人間が攻撃的になった』攻殻機動隊・神山健治監督、 現代日本の“摩擦”と“生きづらさ”を語る。
「そう囁くのよ、私のゴーストが」というフレーズは、「攻殻機動隊」シリーズのほぼ全てに登場する、公安9課の少佐こと、草薙素子の代表的なセリフ。
『攻殻機動隊』の世界観というのは、今より未来、科学が進歩し、人々が脳を「電脳化」し、脳とコンピューターを直接つなげることが当たり前になった世界。
コンピューターとの親和性を高めて、脳が直接インターネットにアクセスできるようになり、人々の間で情報が並列化されていく近未来。といっても2045年の設定なのでそんな先の未来ではない。
ゴースト(魂・霊)とAI全身義体との葛藤。これがこれからの問題で、義体までの未来は少し横に置いておくにしても、ChatGPTでさえそれが見え隠れし始めている。
脳が移植されて意識がAIと共に歩き始めていく世界。「自分の記憶」「自分とはなにか?」が、曖昧になってしまった世界観。
その世界の中で「ゴースト」とは、「自我」「自分の原初の思い」そして「個性」。情報の並列化、コンピューターの制御を超えた「自分ならではの思い」「自分の、本当の、本心」。これをひっくるめて「ゴースト」と呼んでいるのだと感じる。
「私のゴーストが囁くのよ……」というセリフは、主人公の草薙素子が大事な決断をする時に出てくる名セリフである。
この台詞が頭から離れず、印象に残り続けた。その理由は自分でもわからない。
可能性も、そして破壊性も秘めていそうな、とても大切なフレーズのように、自分は感じてしまったに違いない。何故かアンテナが反応してしまったということらしい。
「私のゴーストが囁くのよ……」
「今の社会」に生きる我々現代人にとっても、とても大切なキーワードだと思う。
自分も含め、現代社会の人々は、電脳化やコンピューターという機械自体ではないにしろ、それと同じように「魂」が、「霊」が、「自分自身」が、制御されているような気がする。
メディアの発信する情報をいとも簡単に受け入れ続け、情報が並列化され、いつの間にか作られた社会常識に制御されて、「根本的な自分の思い」「本心」をも制御されてしまっているのではないだろうか。
生身の人間が、生身ではない「機械」と対峙することによって、「生身の生き方」というものに邂逅するきっかけになれば良いと思う。
「生身の倫理観」をもAIはすぐに学ぶからこそ、人間の正しい倫理というものが今、求められている──(『施術家・吉田正幸の「ストレス・スルー術」』2023年12月9日号より一部抜粋、続きはご登録の上お楽しみください。初月無料です)
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