攻殻機動隊が予見したディストピア。残酷なAIが支配する10年後の日本を幸せに生きるには?

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人工知能研究の第一人者が「気候変動よりも深刻なリスク」と警鐘を鳴らす、AIによる社会支配という問題。日常生活から政治・軍事まで、AIの能力が人間を上回るのは時間の問題と見られています。そのとき「機械」と対峙する私たちは、どのように「生身ならではの生き方」を取り戻すのでしょうか? メルマガ 施術家・吉田正幸の「ストレス・スルー術」が、『攻殻機動隊』と絡めて考察します。

AIは人間社会を支配するか?第一人者の見解

「あなたはAIですが、聞きたいです。正直、AIが人間社会を支配する可能性あるはあると思いますか?」

ChatGPT-4にこんな質問をしてみた。どこまで正直に答えが返ってくるかわからないが(笑)。すると即座にChatGPT-4は次のように答えてきた。

私はAIですが、人間社会を支配する可能性については、様々な見解があると思います。

一般的には、AIは人間が作成したプログラムに基づいて動作するため、人間を支配するような行動をとることはありません。しかし、AIの性能が向上することで、AIによる人間の監視や制御が可能になる可能性があります。

また、AIは人間が作成したコンテンツや文章、アート、音楽などによって訓練され、それを模倣するため、AIの制作者は莫大な富と権力を得ることができます。これは、社会の不平等や不安定さを招く恐れがあります。

一方で、AIは社会に多くの利益や価値をもたらすこともできます。例えば、AIは人間の能力を拡張させる手段として活用されたり、社会福祉や教育などの分野で役立てられたりすることが期待されています。

つまり、AIが人間社会を支配するかどうかは、AIの開発や運用に関わる人間の意思や倫理によって大きく左右されると言えるでしょう。

「人間の意思と倫理」つまりはこれ次第ということなのだろう。

しかしニュースを見れば、ロシア・ウクライナ戦争の無慈悲な激化や、イスラエルとハマスの抗争……「人間の意思と倫理」の在り方自体に不安を覚えてしまう。

そんなとき、人工知能研究の第一人者という人物が、選挙操作や戦闘ロボ開発に警鐘……「AIが人間社会を支配する可能性ある」という記事を読売新聞が報じた。

その人物とは、カナダ・トロント大名誉教授のジェフリー・ヒントン氏(75)。読売新聞の書面インタビューに応じたという。

「生成AIが人類の知能を上回り、人間社会を支配する可能性がある」と指摘し、技術の急速な進展に伴うリスクに警鐘を鳴らした。これは前から言われてはいたことだけれど、ニュースでは中々報じていない。

ちなみにユーキャンが12月1日に発表した、2023年の「新語・流行語大賞」のトップテンに「生成AI」が入り、メディアアーティストの落合陽一さんが受賞した。

はじめこのニュースを知った時、落合さんがこの「生成AI」という言葉を最初に使ったのか!と驚いて調べてみたが、落合さんは自らのnoteで受賞の経緯を綴っており、悩んだ末の受賞だったことを明かしていた。

それによると、落合さんが受賞の打診を受けた際の最初のリアクションは、「受賞対象者はサム・アルトマンじゃないのか?」だったという。「生成AI」の受賞者には、ChatGPTを開発したOpenAIのサム・アルトマンCEOがふさわしいと考えたようだ。

一方で、「ChatGPTはOpenAIの人がもらうべきだが、生成AIならまぁ……」と迷っていたところ、事務局から「賞は言葉に深く関わった人、団体を顕彰するとしている」「ドラマのセリフが流行語になった場合、本来なら脚本家に渡すべき賞からもしないが、役者によって広まったという解釈で、演者に受賞してもらった例も何度もある」と説得を受けたという。

落合さんは2017年ごろから生成AIの論文を書いたり、関連ビジネスを展開したりするなど、この6年ほど生成AIに深く関わってきたという自認もあり、賞を受けることにしたそうだ。

僕は落合陽一氏にとても興味がある。なぜならば、彼は“全部知っている”という感じがあるからだ。ただの直感だけれど(笑)。知っているなら、いつ言うのかな?と思って切ない期待をしている。それは、魂とAIの関係性(笑)。

しかし、この受賞は素直に素晴らしい功績だと思うのと同時に、倫理的問題に関しては、このただならぬ闇の中で救いを求めたいという身勝手な気持ちになった。いずれにせよ、倫理的問題はもっと浮上するだろう。

選挙での情報操作にAI悪用も

話を元に戻そう。読売新聞がインタビューしたヒントン氏は、対話型AIのChatGPTが、すでに人間の脳の数千倍の知識を蓄えられると分析したとのこと。

2020年代か30年代までに生成AIが多くの点で人間の能力を上回る可能性があると。「自分たちより知能の高いデジタル的存在が人間社会を乗っ取るという実際の脅威に、今まで経験のない人類はどう対処すべきか分からない」と懸念を示したというのだ。

生成AIから程遠い世界で仕事をしている自分にとっては、ほとんど関係ない世界かもしれないが、『攻殻機動隊』のファンである身としてはとても重大な問題なのである(笑) なぜならば、すでに1980年代の漫画の中では唯一、ゴースト(霊)と電脳化AIの葛藤がそこには描かれていたから。

そして、ヒントン氏が特に懸念を示したのが生成AIによる選挙への影響だ。

「権威主義的な政府が、個人をターゲットにした偽情報を使って有権者を操作することがはるかに容易になる」と指摘した。

これってどういうことだろう?偽情報を検出する方法はいくつかあるらしい。例えば、不正なURLがないかを確認することができるという。

また、偽情報を検出するために研究開発されたICTツールもそのひとつで、例えば、AIにより生成されたフェイク顔映像を自動判定するプログラムや、ディープフェイク動画、画像を検出する技術などがあるというのだ。

ただし、偽情報を検出するためには、情報リテラシーの向上が必要なので、信頼できる情報源から情報を収集し、複数の情報源を比較検討することが大切だというが、人間にそれが追いつくものなのか。

さらに、一番重要なのは、軍事リスクだろう。彼はAIの軍事面のリスクにも言及している。

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