反日武装戦線にも影響「太田竜」の思想的無責任
2点目は、北海道の問題です。
この「反日武装戦線」に影響を与えた人物として、太田竜という存在があります。樺太の引揚者で、スターリンに反対してトロツキーの革命思想にかぶれた壮年期を経て、アイヌに肩入れして「北海道開拓は悪」だなどという一方的な主張を繰り返していました。
そのくせ、晩年は自然食やエコロジーを経て最後は右翼に近い「日本が最高」的な立場まで動いていったのですから、「無責任にもほどがある」としか言いようがありません。
この桐島「らしき人」を含めたグループは、この太田の「アイヌは正義で、北海道開拓は侵略」という一方的な思想に「かぶれ」て、爆弾テロを繰り返していました。
この問題は、アジアとの経済関係の問題以上に「全く笑えない話」だと思います。
まず、現在の北海道ではようやく「アイヌ差別は悪」という認識が浸透しました。また同時に「アイヌも、そして内地からの開拓民も、どちらも北海道を構成するルーツ」だという共生の認識が定着しています。
例えば、野田サトルさんの漫画『ゴールデンカムイ』の主人公は、アイヌと屯田兵という設定となっており、アイヌと開拓民の連合体が北海道だという建付けになっています。
また北海道に根ざしたリゾート運営をしている鶴雅グループは、アイヌ文化をデザインの基軸に据えることで成功しています。
そう考えると、このグループが若き日に爆弾テロを繰り返す中で「開拓民は侵略者」などと叫んでいたことは、現在の北海道のアイデンティティへの究極の挑戦に他ならないことになります。
ちなみに、その裏返しが杉田水脈議員などによるアイヌヘイトで、これは右からの分断ということになり、太田や「解放戦線」の思想と同様に現在の北海道への挑戦に他なりません。
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