青春時代の思い出「マクドナルド前」が消えた。“墜落”した韓国ソウル「代表商圏」の現在

Seoul,,South,Korea,25-september,2015,.,Atmosphere,In,Seoul,City
 

学生たちが集まる場所として知られていた韓国・ソウルの「代表商圏」が少しづつ寂れてきているようです。無料メルマガ『キムチパワー』の著者で韓国在住歴30年を超え教育関係の仕事に従事している日本人著者が、一時期はファッションの聖地とまで言われた地域でも空室が目立っているという、韓国の「新村」「梨花」の現在について詳しく紹介しています。

青春の町が衰退の一途

それぞれの個性と独創性でトレンドを先導したソウルの代表商圏が墜落している。可愛らしい小物ショップと衣類売場、グルメ店が調和し、一時ホットプレイスとして浮上した一部地域は、自営業者が高騰する賃貸料負担に耐えられず、周辺に徐々に押し出されたことを皮切りに、商圏自体が魅力を失って久しい。

人であふれた街は空室でいっぱいで、商圏の老朽化は現在進行形だ。ソウルの代表商圏として注目されたが今は過去の活力を失ったところ(今回は新村と梨大付近)を紹介する。韓流ブームで日本の方で新村(シンチョン)や梨花(イファ)女子大前や弘大(ホンデ)前などをご存じの方も多いかも。

「怖いですね。いつ私も荷物をまとめることになるか・・」

先月27日午前、ソウル西大門区(ソデムング)の梨花(イファ)女子大学正門前。ここで44年間、オーダーメイド洋装店を経営しているシン某さん(66)は、「一つ二つと消えていく店を見ていると、私もいつ荷物を畳むことになるか分からず不安だ」と話した。

かつて「ファッションの聖地」と呼ばれた路地は、一時は中国人観光客でいっぱいだったが、今は昔の栄光の跡さえ見つけることができなかった。縦に長く並んだ店舗60か所あまりのうち、18か所は空いている状態だった。隣町の新村(シンチョン)も過去の名声を失って久しい。長さ500メートルの延世路周辺のビル1階の店舗はがらんとしたまま「賃貸」ステッカーが貼られていた。4か所は建物全体が空いていた。

新村と梨大付近の空室率が高くなり、この2か所が「青春」というキーワードでもてはやされたものだが今やそれも昔話になった。カロスキル(36.5%)の次にソウルで2番目に空室の多い町になったからだ。

韓国不動産院によると、昨年第4四半期基準で新村(シンチョン)と梨花(イファ)女子大学付近の小規模商店街の空室率は22%だった。同時期のソウル平均空室率(5.6%)の4倍だった。カロスキルというのは「街路樹の道」の意で、江南の新沙洞(シンサドン)のカロスキルのことを言っている。

この日、ちょうど延世(ヨンセ)大学の卒業式があったが、国民日報の取材陣が会った学生たちは卒業式が終わった後、延南洞(ヨンナムドン)や弘大(ホンデ)の方に昼食を食べに行くと言った。卒業生A氏は「1年生の時にあった店が今はほとんど廃業した」とし「卒業式が終われば家族と延南洞に行ってパスタを食べる予定」と話した。経営学科を卒業したB氏は「普段も学科の友人たちと弘大付近に行って主にご飯を食べる」として「きれいなカフェもはるかに多くて写真を撮るのにそちらが良い」と話した。

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