「歴史修正抜き」「核抜き」は絶対。“もしトラ論議”で自称保守派こそが目を覚ますべき理由

 

日本を追い詰めるオウンゴール行動をしかねない保守派

何度でも言いますが、自主防衛論というのは論議としては避けて通れません。NATOに入り、仮に日米安保が残った場合でも相互防衛義務を負うということはあるでしょう。ですが、そうした自主防衛が日本の安全を保障するためには、「歴史修正抜き」「核抜き」というのは絶対だと思います。そうでなければ、誰も味方をしてくれずに孤立するだけでなく、権威主義陣営からの攻撃の口実すら与えることになります。

現在進行形の「もしトラ」論議は、そこには必然性はあると思います。そして、「もしトラ」論議を通じて憲法改正や自主防衛をタブーなく論じるような「覚醒」が必要だと言うのも正しいと思います。

ですが「覚醒」が必要なのは、「相互防衛義務を負うのは戦争に巻き込まれるので嫌だ」とか「攻撃されたら逃げれば良い」、あるいは「領土は割譲しても人命優先」などと言っている一国平和主義の側だけではないと思います。

防衛強化イコール「核武装」と「枢軸日本の名誉回復」などと考えている自称「保守派」の方も目を覚ましてもらわないと困ります。これまでのアメリカは、この種の「親米保守」を甘やかしてきました。それは「国内向けの人畜無害なイデオロギーごっこ」だという理解をしていたからです。

確かに日本の保守派には「領土的野心」はないようです。ですが、それでも枢軸時代を含めた1910年以降の日本の歴史の名誉回復を志向するというのは、NATO入りを阻害し、日韓を引き裂き、最後は日本を追い詰めてしまうオウンゴール行動になってしまいます。

とにかく、日米安保が「ビンのフタ」になる中で、その瓶の中の「人畜無害の国内向け『保守ごっこ』」として続いてきただけなのです。この問題からの「覚醒」というのも、「もしトラ」論議の重要な部分だと思います。

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東京都生まれ。東京大学文学部卒業、コロンビア大学大学院卒。1993年より米国在住。メールマガジンJMM(村上龍編集長)に「FROM911、USAレポート」を寄稿。米国と日本を行き来する冷泉さんだからこその鋭い記事が人気のメルマガは第1~第4火曜日配信。

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