糖質制限とグルテンフリーはまったく別の概念。糖尿病専門医が解説する糖質制限食とグルテンフリー、カゼインフリーの関係

 

カゼインフリー

牛乳のたんぱく質の成分のうち、一番多く含まれているのがカゼイン(80%)です。

当然のことながら、カゼインアレルギーがある人は、カゼインフリーが必要です。

私は、アトピー性皮膚炎の赤ちゃんも多数、診察してきましたが、「牛乳、卵、小麦」が、3大アレルゲンでしたし、今もそうだと思います。

その中で、牛乳アレルギーは、ほぼカゼインアレルギーでしょう。

一時「除去食物療法」がアトピーの赤ちゃんに厳格に行われた時代もありましたが、最近では、乳児期からできるだけ原因食物を完全除去にはせずに、症状が出ない少量の原因食物の摂取を行うことが、重症化させない対策として重要であると考えられています。

食物アレルギー有病率調査では、およそ乳児10%で、幼児5%、学童期以降が1~3%でした。

アレルゲンの頻度としては「卵 < 牛乳 < 小麦」の順番です。

成人のカゼインアレルギーは、人口の約1%とされていますから、結構多いです。

カゼインアレルギーの症状としては、腹痛や嘔吐、じんましんやかゆみ、せき、元気がない、きつければアナフィラキシーなどです。

糖質制限食実践について

単純に言えば、

1)グルテンアレルギーがある人は、グルテンフリーが必要
2)カゼインアレルギーがある人は、カゼインフリーが必要

ということです。

カゼインによって腸内環境が乱れ、腸が炎症を起こし…というのは全て仮説であり、明確な根拠がある話ではありません。

私はカゼインアレルギーがない人が、乳製品を摂取しても問題はないと思います。

また、糖質制限食とグルテンフリーは、全く別の概念です。

例えば、グルテンフリーを実践しているテニスのジョコビッチ選手は、夕食は糖質制限食ですが、運動量の多い、朝と昼は、お米やそばや芋など糖質を食べています。

筋肉がしっかり活動している時は、インスリンに依存することなく筋肉が血糖値を取り込んでくれるので、肥満の心配がないからです。

どちらのアレルギーもない場合は、普通に糖質制限食を実践すれば良いですし、グルテンフリーもカゼインフリーも必要ないです。

糖質制限OKパンにも少量のグルテンが入っていますが大丈夫です。

私は 1)2)がないので、糖質制限OKパンや乳製品も普通に食べています。

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(財)高雄病院および(社)日本糖質制限医療推進協会 理事長。内科医。漢方医。京都大学医学部卒、同大胸部疾患研究所等を経て、1978年より医局長として高雄病院勤務。2000年理事長就任。高雄病院での豊富な症例をもとに、糖尿病治療、メタボ対策としての糖質制限食療法の体系を確立。自らも二型糖尿病であるために実践し、薬に頼らない進行防止、合併症予防に成功している。

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