税務調査を拒否した場合の罰則は?
では、納税者が税務署から任意調査の打診を受けたとき、「税務調査を拒否」したら、どうなるのでしょうか?
税法では「1年以下の懲役または50万円以下の罰金」ということになっています。
税務調査を拒否して、税務署に起訴された例として、ちょっと古いのですが、昭和48年の判決があります。
この事案は、納税者が税務調査の打診を受けてもいつまでも応じず、税務署員が訪問しても拒否し続け、押し問答になった際に、税務署員がちょっとしたケガをしたとして、起訴されたものです。
この裁判では、納税者側は、「税務調査の目的がはっきりせず税務調査を受けること自体納得が行かない、税務調査の目的を示せ」と主張しました。
一審では納税者側の主張が認められ無罪となりましたが、二審では税務署側の主張が認められ、罰金3万円が課せられました。
最高裁では上告が棄却されたので、罰金3万円が確定しました。
納税者側が負けたとはいえ、罰金は3万円で済んでおり、また税務署側に対して、「税務調査をするには税務調査をしなければならない客観的な理由が必要」ということも示されました。
また当時は、税務署が税務調査の目的をあらかじめ納税者に明示することはしていなかったのですが、この判決の後、税法が改正され、現在では、税務調査の目的を明示することになっています。