娘が好きすぎて嫁に出さなかった皇帝と、娘を利用して栄華を極めた日本の権力者

 

娘を嫁に出さない、すなわち政略の道具にしなかったカール大帝に対し、藤原道長は娘をフル活用して朝廷を掌握、栄耀栄華を極めました。

「この世をばわが世とぞ思ふ望月の欠けたることもなしと思えば」

という有名な和歌を詠みましたね。かのモテ男、光源氏のモデルとも言われ、御堂関白と称されました。ところが、彼は摂政や左大臣、太政大臣には就いていますが関白には就任していません。関白以上の権力者であったがゆえに、公家社会の頂に立つ関白だとみなされていたのでしょう。そんな絶対権力者だった道長は女性に恵まれました。女性というのは娘たちです。四人の娘が四人の天皇の皇后となり、三人の孫が天皇になったお陰で、道長は絶大な権勢を得ることができたのです。

当然、女性関係にも不自由することはなかったのですが、後の世の関白豊臣秀吉と比べるとぐっと控え目です。側室は置きましたが、秀吉のように目に留まった女は見境なくということはありませんでした。もっとも、清廉潔癖ではなく才女、紫式部にちょっかいをかけようとしたそうです。紫式部の寝間の戸を一晩中叩き続けたのですが、式部は戸を開けず、朝までじっとしていて、戸を開けていたらと思うとぞっとすると日記にしたためました。してみると、紫式部には振られ、式部は道長を嫌っていた、ということは光源氏のモデルではないのかもしれません。一晩中、好きな女の寝間の前で佇む権力者、いと哀しですね。

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【著者】 早見俊 【発行周期】 週刊

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