ウクライナ、アメリカ、欧州、ロシアの現状
ここまで、ざっくりこれまでを振り返ってみました。次に各勢力の現状を見てみましょう。
まず、アメリカでは4月末、ようやくウクライナ支援緊急予算が成立しました。「産経新聞」4月25日付。「米、ウクライナ支援緊急予算が成立 バイデン大統領が署名」。
バイデン米大統領は24日、ロシアの侵略が続くウクライナ向けに約600億ドル(約9兆3,000億円)の支援を盛り込んだ緊急予算に署名し、予算は成立した。バイデン政権は停滞した軍事支援を速やかに再開し、ウクライナの戦場で不足する武器弾薬の補充や、露軍の空爆で消耗した防空システムの強化を急ぐ方針。
アメリカがウクライナを支援する9兆3,000億円というのは、ロシアの2024年度軍事費の約半分にあたる額です。
次に欧州の動きです。欧州では最近、二つの主張がでてきています。
一つは、「欧州がウクライナに供与する武器で、ウクライナがロシア領内を攻撃することを許可しよう」という動き。ということは、これまで許可していなかったということです。欧州もアメリカも、ウクライナーロシア戦争の激化を望んでいないからです。
ところが、NATOのストルテンベルグ事務総長、フランスのマクロン大統領、ドイツのショルツ首相などが、「ロシア領攻撃容認」に立場を変えてきました。「ロイター」5月29日付。「『世界紛争引き起こす』 プーチン氏、西側供与の武器を使ったロシア領攻撃容認論を強くけん制」。
NATOのストルテンベルク事務総長は英誌エコノミストに対し、ウクライナが西側から供与された武器でロシア領内を攻撃することを同盟国は容認すべきとの考えを示し、一部加盟国もこの立場を支持した。
マクロン仏大統領は28日、次のように述べた。「われわれは彼ら(ウクライナ)に、『あなた方に武器を供給するが、あなた方は身を守れない』と言っている。ミサイルを発射した軍事施設を無力化することを認めるべきだと考える」
ドイツのショルツ首相は、マクロン大統領に同意し、ウクライナが国際法に従い、武器を提供した国々から与えられた条件を尊重する限り、自国を守ることは許されると述べた。
欧州の最近の主張二つ目は、「NATO加盟国がウクライナに派兵する可能性」についてです。これは、主にフランスのマクロン大統領が主張しています。「JBPress」4月14日付。「『ウクライナ派兵』をぶち上げたマクロン仏大統領はNATOの旗手か、それとも単なる目立ちたがり屋か」。
ウクライナ戦争勃発から2年が経過した2024年2月26日、フランスのマクロン大統領が、対ロシア軍事戦略を話し合う国際会議で、「欧米の地上部隊をウクライナに派兵する可能性を排除しない」と爆弾発言し、NATO(北大西洋条約機構)に激震が走った。
これが実現すると、「ウクライナ―ロシア戦争」は「NATO―ロシア戦争」に転化し、「第3次世界大戦」勃発です。









