今どきの新卒社員は、三木谷会長だって「利用」する!?
楽天グループの三木谷浩史会長兼社長が、もともと部下に対して「はい」か「イエス」しか認めないパワースタイルの経営者というのは、日本のIT界隈では有名な笑い(?)話。
最近はそんな三木谷氏自身が、楽天モバイルの契約数増加のため、トップ営業を率先して行っているようだ。SNSでの情報発信はもちろん、経営者仲間や自身を担当する美容師、タクシー運転手にまで“ドブ板営業”をかけていると報じられている。
【関連】楽天、黒字へ三木谷氏自ら「どぶ板営業」 タクシーでもPR – 日本経済新聞
トップが「口だけ」なら下の人間も安心してサボれそうなものだが、三木谷氏自身に「やってみせ」を実践されてしまったら、新卒社員に拒否権などあるわけもない。中には、そんな三木谷氏に心酔する若者が出るのも無理からぬところか。先の人事担当者の分析。
「もちろん新卒社員に拒否権はないと思いますが(笑)、だからと言って彼らが三木谷さんに“心酔”しているかというと、それはちょっと違う気もしています。いまの楽天さんで頑張れるような新卒は、生来の鋼メンタルにくわえ、『楽天という企業ブランドを最大限に利用してやろう』という意識が非常に強いのではないかと思います。つまり、最初から転職大前提のキャリア観です。彼らデジタルネイティブはもともとネットでの顔出しに抵抗感が少ない世代。実名を晒せば当然、批判を浴びる機会は増えますが、それ以上に味方になってくれる人も多数現れるという法則を実感として理解している。SNSの声は、プラスの意見だけありがたくいただいて、マイナスの意見なんて無視してしまえばいい。そんなふうに、アテンション・エコノミーの時代には自分自身の名前を売ってこそナンボだという、したたかな考えを持っているのではないでしょうか」(人事担当者)
そうやって筋金入りの“楽天ソルジャー”に成長できたとして、その新卒社員はその後もずっと“ソルジャー”としてのキャリアを歩んでいくのだろうか。転職先には困らないとはいえ、なかなかにハードな生き方に思えるが――
「個人的には、案外、今回の“楽天新卒組”の中から、将来自分で起業して大成功する社長が出てくるのでは、と思っています。よほどの天才でもないかぎり、仕事の能力や効率化には限界があります。結局そういう理詰めの部分は、みんな似たり寄ったりの横並びになりがちなんですよね。そうなると、一周回ってものをいうのは結局生命力、狩りの能力、ドブ板営業力。ネットでぶつくさ文句を言っている人よりも、よほど将来有望な気がするんですよ」(前同)
ネットで賛否が渦巻く楽天“新卒問題”、読者はどうお考えだろうか。記者個人としてはそれでも、どうしても楽天で働きたいとは思えない。
楽天カードや楽天モバイルは便利に使わせてもらっているが、仕事として友人や親戚に楽天カードや楽天モバイルの契約をお願いして回るのは何だか生理的に嫌なのだ。そんなふうに感じてしまう時点で、ひょっとすると時代に取り残されているのだろうか?
【関連】幻の駄菓子屋ゲーセン『ばっちゃん』は本当に実在したのか?1プレイ20円、マリオではなくマサオ…昭和の小学生を魅了した尼崎の社交場








