まったく説得力がない「救う会」会長の訂正文書
この集会は18時半から20時半まで行われ、西岡発言も「救う会」のHPですぐに公開された。ところが──。西岡発言は間違いだったというのだ。「救う会」は「訂正」という表現でこんな文書を掲載した。
■東京連続集会西岡発言訂正
本日令和6年5月30日に都内で救う会東京連続集会が開催された。そこで、私、救う会西岡会長は一部の報道が、北朝鮮から提供された横田めぐみさんものだとされた偽遺骨と一緒にめぐみさんのものと思われる歯が入っていたと伝えていたことについて解説する中で、横田早紀江さんは偽遺骨が出てきた当初に政府から歯が入っていることについて説明受けていたと話した。しかし、早紀江さん本人に再確認したところ、そのような事実はないということが明らかになった。西岡発言のその部分を取り消します。なお、早紀江さんが歯の存在について知ったのは、一部の報道があったときだという。
まったく説得力がない。何があったのか。福澤証言にあるように横田めぐみさんの「歯」については、日本政府関係者で、しかも膨大なめぐみさんのカルテを翻訳した人物から取材したものだ。しかも西岡発言は否定したが、カルテと「歯」は一致したという。ただし警察関係者は「歯の存在」を否定してきた。ところが横田早紀江さんは当時から知らされていたと語ったのだった。
西岡発言に慌てたのは警察庁や警視庁からの出向が多い内閣情報調査室だった。これまで20年間にわたって隠してきた事実を間接的にではあっても横田早紀江さんが認めたことが問題になったのだ。西岡力「救う会」会長が大慌てで「訂正」した理由である。ところが「訂正」が行われた時点では、まだ動画は削除されていなかった。はからずも福澤真由美さんの取材が正しかったことを補強してしまったのだ。
横田滋さんが2020年6月5日に亡くなって4年。それをきっかけに開かれた会見のなかで横田早紀江さんは「何でもいいから明らかにしてほしい」とも語っていた。私も同じ言葉を何度も直接に聞いてきた。その思いの背景には何か隠されているのではないかとの疑念がある。(次号に続く)
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