糖尿病の治療法として多くの医療関係者が効果の高さを認める糖質制限食。その提唱者でもある糖尿病専門医の江部康二さんは、合併症予防の観点からも糖質制限食による治療開始は早ければ早いほどいいとします。今回江部さんはメルマガ『糖尿病・ダイエットに!ドクター江部の糖質オフ!健康ライフ』に自身の経験を交えつつその理由を記すとともに、糖質制限食を続けるコツを紹介しています。
※本記事のタイトルはMAG2NEWS編集部によるものです/原題:糖尿病と糖質制限食:開始は早ければ早いほどよい
糖尿病と糖質制限食:開始は早ければ早いほどよい
会社の健康診断で、高血糖を指摘されて、医療機関への受診を奨められても、自覚症状がない場合は放置する人が結構います。これでは、折角の健康診断が無駄になってしまいます。
2-3年間放置くらいなら、糖尿病合併症発症にはまだ間に合う段階ですので、是非速やかに受診しましょう。
数年間放置してしまうと、糖尿病の合併症が生じてしまう可能性がありますので、治療開始は早ければ早いほどいいのです。
そして、薬物に頼らず食事療法で血糖コントロールするのが糖尿病治療の王道です。
ちなみに、私は52歳で糖尿病を発症して74歳現在まで薬なしで、スーパー糖質制限食を22年間続けていますが、合併症はゼロです。
さて、糖尿病の評価ですが、以前は、「空腹時血糖値」と「HbA1c」だけで、血糖コントロール良好か否かを決めていました。しかし、近年、それだけでは足りないことが明確となりました。
すなわち、「食後高血糖」と「平均血糖変動幅増大」が、活性酸素を発生させて、糖尿病における最大の合併症リスクということが判明したのです。
従来の定番の評価基準「空腹時血糖値」と「HbA1c」の検査だけでは「食後高血糖」と「平均血糖変動幅増大」を捉えることが困難なのです。
そして「食後高血糖」と「平均血糖変動幅増大」を生じるのは、タンパク質、脂質、糖質のうち、糖質だけです。
そうすると、日本糖尿病学会推奨の従来の糖尿病食(高糖質・低脂質肪食)では、「食後高血糖」と「平均血糖変動幅増大」が食事の度に必ず生じることになり、合併症の予防は極めて困難となります。
現実に、毎年新たに、
- 糖尿病腎症からの透析が1万6,000人以上
- 糖尿病足病変からの足切断が3,000人以上
- 糖尿病網膜症からの失明が3,000人以上
発症しています。現行の糖尿病治療(カロリー制限・高糖質食+薬物療法)が決して上手くいっていない動かぬ証拠と言えます。
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