◇秀吉はなぜ夢を超えることができたのか
ご存じの通り、秀吉は最初、信長に“小者”という雑用係の立場で仕えました。
雑用係は、もちろん侍の身分ではありません。
けれども、信長が秀吉を雇い入れた時、きっと秀吉は、農民の自分に目をかけてもらえたことに胸を躍らせ、心から感謝したのではないでしょうか。
だからこそ、たとえ雑用係の仕事にも自分でできる工夫を施したのだと思います。
寒い日の朝、信長の草履を懐に入れて温めてから出した話は有名ですが、草履一つ出すにも喜んでもらえるようアイデアを加えたのです。
やがて足軽となってからも信長を喜ばせたいという思いは変わらず、一層の信頼を得て侍に、さらに侍大将、近江国・長浜城の城持ち大名へと登り詰めるのです。
過去の自分を振り返ると、西洋の成功哲学に刺激を受け、目標達成に突っ走っていた頃、確かに夢は叶いました。
受験勉強、就職活動、子育て、すべてにビジョンを描き目標を立ててやってきました。
しかし、見方を変えれば夢しか叶わなかったのです。夢を超えた現実はやってきませんでした。
では、秀吉はなぜ夢を超えることができたのでしょうか。
想像するに、秀吉は最初から天下取りなど考えず、いつも“いま、ここ”に全力投球する生き方を貫いたからだと思います。
自分の身の回りの人たちに喜んでもらえることを精いっぱいやっていった。
その結果、周囲の応援を得て次々と人生の扉が開き、天下人へと運ばれていったのではないでしょうか。
まさに天命追求型の人生だったのです。
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