プロ野球選手としても華々しい成績を残し、侍ジャパンの監督も務めた小久保裕紀さん。しかし、彼にも伸び悩んだ時期があったようです。無料メルマガ『致知出版社の「人間力メルマガ」』では、小久保さんがイチロー選手に貰った一言で人生が変わったというエピソードを紹介しています。
イチローの一言が小久保裕紀の人生を変えた。伸びる人と伸びない人の差
プロ野球選手として通算400本塁打、2000本安打を達成。2017年には侍ジャパン監督として、日本代表をWBC(ワールド・ベースボール・クラシック)ベスト4に導いた小久保裕紀さん。
福岡ダイエーホークスに入団したての24歳の時、試合前のランニングで一緒になった22歳のイチロー選手が放った言葉が、野球人生を支える一つのテーマをくれたといいます。 ※本文は掲載当時の内容です
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〈小久保〉
今年3月、イチロー選手が現役を引退しました。「二十代をどう生きるか」というテーマに関して、彼との思い出で最も忘れ難いのは1996年のオールスターゲーム。私24歳、イチロー22歳の時のことです。
私は1994年に青山学院大学から福岡ダイエーホークス(現・福岡ソフトバンクホークス)に入団しました。2年目で本塁打王を獲得したものの、「俺はパ・リーグ1番だ」と天狗になってしまい、翌シーズンは開幕から全く打てず、焦りは募るばかり。
一方、イチローは高卒でオリックス・ブルーウェーブ(現・オリックス・バファローズ)に入団し、3年目の1994年に初めて最多安打と首位打者に輝くと、翌シーズンはその2つのタイトルに加えて打点王を獲得。1996年も3年連続の首位打者へ驀進中でした。
そういう状況で迎えたオールスターの試合前、イチローと2人で外野をランニングしながら、彼に「モチベーションって下がらないの?」と尋ねました。「小久保さんは数字を残すためだけに野球をやっているんですか?」「まぁ残さないとレギュラーを奪われるし……」
すると、イチローは私の目を見つめながらこう言ったのです。
「僕は心の中に磨き上げたい“石”がある。それを野球を通じて輝かせたい」
衝撃でした。
それまでは成績を残す、得点を稼ぐ、有名になることばかりを考えていたのですが、この日を境に、野球の練習をしているだけではダメ、自分をもっと高めなければいけないと思い至りました。
心掛けたのは1人の時間の使い方。空いている時間は読書をすると決め、毎日実践しました。野球を通して人間力を鍛えるというスイッチが入ったのは、彼の言葉があったからこそです。
後年、「あの時の言葉のおかげで俺の野球人生がある」と感謝の言葉を何度伝えたか分かりません。
※本記事は月刊『致知』2019年6月号 連載「二十代をどう生きるか」から一部抜粋・編集したものです
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