毎回税務に関するお役立ちな情報を発信している無料メルマガ『税金を払う人・もらう人』。著者の現役税理士・今村仁さんが今回ご紹介するのは、税務調査対応の「小手先テクニック」です。
税務調査対応の小手先のツボ
■駆け引きは最後
今回は小手先のしょーもない税務調査対応を書きます。
例えば、商いで商談相手と是々非々の交渉をしているとします。
1つ要求すればこちらも1つ譲歩を迫られたり、単に平面のやり取りだけでなく、重層的かつ立体的にお互いのメリットやデメリットの応酬となることもあるでしょう。
そんな時に、まだ論点も定まっていない状態で、「最終結論となる駆け引き」を始めてしまう方はいないでしょう。
こちらの言うべき事や言いたい事、相手の要求などが出揃ってから、「では、これを飲むのでこの条件でどうでしょう」等とされるのが上手く交渉するコツだったりします。
大事なのは、「お互い要望が全て出揃ってから駆け引きがスタートする」ということです。
■税務調査も同じ
例えば、税務署から「この経費は社長個人に属するのではないですか?」などと言われても、明らか過ぎる黒でない限り、「その可能性は高いですが、きちんと調べますね」などといって、最終交渉材料として留めておきます。
ここで交渉をスタートしません。
更には、ここで黒と認めると、駆け引きの対象から外れて、黒=修正申告で終了となってしまいますので、それも避けるべきです。
税務署による十分な調査が行われ、税務署に対して「これで指摘事項は全てとなりますでしょうか?」と口頭で確認を行い、そこをスタートに、「では、こちらは認めますので、これらは指導事項とならないでしょうか?」等と交渉をしていくと、結果的に納税額が少なくなることが多いです。
■指導事項や年分を絞るなど
指導事項とは、今後きちんと処理を行うので、今回は大目に見てもらうという処理です。
他にも、「年分を絞る」や「税目を絞る」など細かい交渉を、きちんと膝を突き合わせて話を詰めていくと、今後きちんと処理を行う前提では、思いのほか税額が下がることもあります。
今回は、税務調査対応の小手先のツボでした。(笑)
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