石丸伸二氏が奪った“無党派層取り込み”の役割。証明された維新と国民民主という「第三極系の政党」の終焉

2024.07.11
Tokyo,,Japan,-,June,26,2024:,Ads,On,The,Election
 

7月7日に行われた東京都知事選で「党の顔」蓮舫氏が惨敗した立憲民主党と、同日の都議補選で2勝6敗という「大惨敗」に終わった自民党。主要メディアは両党が負った痛手を盛んに報じていますが、彼ら以外が受けた大ダメージを指摘する声も上がっています。今回、毎日新聞で政治部副部長などを務めた経験を持つジャーナリストの尾中 香尚里さんは、維新の会や国民民主党といった第三極系とも言うべき政党が「役割を終えた」として、そう判断せざるを得ない理由を解説。さらに彼らの役割を奪う形となった石丸伸二氏の国政進出の可能性について考察しています。
※本記事のタイトル・見出しはMAG2NEWS編集部によるものです/メルマガ原題:都知事選と都議補選、第三極の壊滅

プロフィール:尾中 香尚里おなか・かおり
ジャーナリスト。1965年、福岡県生まれ。1988年毎日新聞に入社し、政治部で主に野党や国会を中心に取材。政治部副部長、川崎支局長、オピニオングループ編集委員などを経て、2019年9月に退社。新著「安倍晋三と菅直人 非常事態のリーダーシップ」(集英社新書)、共著に「枝野幸男の真価」(毎日新聞出版)。

都知事選と都議補選、第三極の壊滅

7日投開票の東京都知事選と東京都議補選は、政権与党の自民党と野党第1党の立憲民主党の双方に、大きな打撃を与える結果となった。

自民党は、支援していた現職の小池百合子知事が順当に3選を果たしたものの、裏金事件の影響で「ステルス支援」に徹したため、勝利と党勢復活が直結していない。都議補選では、都連会長を務める萩生田光一前政調会長の地元・八王子で敗れたのをはじめ2勝6敗に終わり、選挙前から3議席減らしてしまった。

立憲民主党は都知事選で「党の顔」でもあった蓮舫氏が参院議員を辞職して挑戦したが、出馬表明から選挙までの短さもあり、小池氏のみならず前広島県安芸高田市長の石丸伸二氏も下回る3位に。都議補選では唯一の自民党との直接対決となった足立区で勝利するなど一定の成果を収めたが、トータルでは敗北の印象が強く、躍進ムードにブレーキがかかった。

このように、実際に選挙を戦った2大政党の敗北感は、目に見えるだけによく伝わってくるが、この選挙で本当に「敗北」したのは、実はこの両党ではないと思う。野党第2党の日本維新の会をはじめ、2大政党のどちらにも与しない形で独自の存在感を発揮してきた政党が存在感を失った、というより、その役割を終えた選挙になったのではないか。

東京都知事選は、維新以下第三極系の政党にとって「チャンスを作れる」選挙でもある。選挙区の人口がめちゃくちゃに広く、無党派層の割合も多い。衆院に小選挙区制が採用され、国政で2大政党の動向に関心が向きがちになるなか、都知事選のような注目度の高い選挙で存在感を発揮すれば、党としての「勝ち」は見込めなくても、その後の国政のありように微妙に影響を与えることも可能だからだ。特に今回の都知事選は、この後比較的早い段階で衆院解散・総選挙が噂されているだけに、なおさらだ。

にもかかわらず、こうした政党の存在感は、都知事選でも都議補選でも皆無に近かった。

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