大半の人は持ちこたえられず大損する可能性がある?
キャピタルフライト(資産逃避)は正しいか間違いかといわれると、完全に正しい動きである。資金はこれからも成長する「国」、これからも成長する「企業」、これからもイノベーションを生み出せる「場所」に移動させるのが王道だからだ。
しかし、ここで注意しなければならないことがある。
米国株を買っている素人は正しいのだが、大半は持ちこたえられなくて大損する可能性が見えてきている。
今、全世界株式や米国株式を買っている素人投資家は大半が儲かっている。その利益は株式市場の上昇の恩恵もあるのだが、それだけではなく「円安(ドル高)」というゲタもはいていることに注意すべきだ。
この円安(ドル高)のゲタがなくなれば、当然のことながら資産額は目減りする。仮に1ドルが160円から110円くらいまで下がれば、「(160円-110円)÷160円×100=31.25%」なので、株価が変わらなくても資産は一気に3割ほども目減りすることになる。
今は株価も高いのだが、円高になった上に米国株も10%くらい調整したとすると、合わせて4割ほど目減りする。資産が4割も消えてしまえば、ほとんどの素人投資家はパニックになって株を全部売り飛ばしてしまうだろう。
「そんなことは起きない」「これからもずっと円安のはず」と過信するのは無謀だ。
今の円安は日米の金利差に負うところも多いのだが、アメリカはそろそろ景気減速の兆候がデータとしても見られるようになりつつあるので、今年1回は9月だか11月に利下げされる「かも」しれない。
そうなると、日米の金利差は縮むので、ある程度の円高・ドル安に振れてもおかしくない。通貨は国力を反映するので、最終的には円安になる。しかし、相場は上にも下にも揺れ動くので、一時的に円高になってもまったく不思議ではない。
そのときに、大半の素人投資家は持ちこたえられなくて新NISAだろうがなんだろうが売り飛ばして大損することになる。
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