残念ながら頼りにはならない欧州各国
ではどうやってニーズを埋めるのでしょうか?欧州各国がそれを埋めることになると思われますが、欧州議会では極右が躍進し、フランスでも何とか左派連合が過半数を取ることになりましたが、RNなどの極右の躍進は目を見張るものがありました。そして次のNATO事務局長(ルッテ元首相)を出すオランダでは極右の政権が組織されています。また英国で14年ぶりに起きた政権交代を受け、これまでの保守党政権下で進められた対ウクライナ支援の見直しもされるとのことです。
つまり欧州各国は、いくらゼレンスキー大統領から非難され、かつ「もっとくれ」と要請されてもそれを実行するための政治的な基盤が無くなってきていることから、欧州は残念ながら頼りにはならないと思われます。
とはいえ、7月11日の首脳宣言では「遅くとも2025年には総計400億ドルの支援をウクライナに供与する」という内容が含まれていますが、この実施のための具体的なスキームについては、まだ今後話し合われるとのことで、もしアメリカ大統領選挙でトランプ氏が返り咲いたら(もしトラ)、この約束は本当に守られるのでしょうか?
個人的には大変疑わしいと思っていますし、欧州においてはすでに対ウクライナ支援の見直しという意見が主流になっており、各国の選挙でその意思が有権者から示されたことを欧州各国のリーダーたちはどう考えるのでしょうか?
非常に興味深いです。
完全なる機能不全に陥った国連安全保障理事会
さて元反ソ連の軍事同盟として生まれた“志を同じくする”国々の集まりであるはずのNATOでさえも意見と対応がまちまちになるわけですから、それを非NATO諸国が大多数を占める国連、そしてロシアが拒否権を持つ国連安全保障理事会が、Proウクライナの対応を今後もできるとは思われません。
同じことはイスラエルとガザの終わらない戦争に対しても言えます。ハマスが行ったテロ行為と人質事件を褒めたたえる国はさすがにいないですが、その後のイスラエルによる過剰な自衛権の発動によって多くのガザ市民が犠牲になり、1万5,000人ほどの子供たちが命を落としていること、そしてガザにおける著しい人道状況の悪化を目の当たりにし、イスラエルをもろ手を挙げてサポートするのはアメリカを除けば見当たらない状況において、イスラエルに自制を求めたグティエレス事務総長とICJやICCによる戦争犯罪の疑いでの訴追にたいして、イスラエル政府がぶちぎれ、関係を修復不可能にした現状においては、当事国の同意を必要とするいかなる国連の人道支援も、また仲裁・調停努力も機能しないことになります。
その壁を政治的に破り、実効的な対策を支持するのが国連安全保障理事会なのですが、最近はあからさまに対立するブロック同士の対立の場になってしまい、完全に機能不全に陥っています。
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