ポイ捨てられたゼレンスキー。インド首相とプーチンの「ハグ」で猛加速するグローバルサウスの「ウクライナ切り捨て」

 

さらにウクライナと距離を置くことになるグローバルサウス

今週の国連訪問において安全保障理事会の会議場前に来ると、なんだかワクワクし、昔のことをいろいろと思い出してしまうのですが、会議場の内部では、解のない非難合戦が繰り広げられていて、ロシアとウクライナの戦争やイスラエルとハマスの戦いに対して何ら実効的な対策を打ち出せないばかりか、時間の浪費によりほかの危機(北朝鮮の核開発問題、スーダンの人道危機など)にリソースを割く余裕がなくなり、結果として多くの紛争と悲劇が“忘れられる”ことになっています。

それはUNの資金繰りにも反映され、今、国連全体で予算上実施することになっているプログラムやプロジェクトの大部分が、資金不足と人員不足の煽りを受けてOn Holdになったままで、その影響は世界中の悲劇下に置かれている市民の犠牲という形で日々表出してきています。

もし先に示した“NATOが2025年に少なくとも400億ドルをウクライナ支援に”という内容を見ると、何とも言えない気持ちになりますが、ウクライナ・ゼレンスキー大統領が藁をもつかむ思いなのは分かるのですが、これでもうUNによる解決の可能性を捨てたと言われるかもしれませんし、少なくともグローバルサウスの国々はさらにウクライナに距離を置くことになるでしょう。

それはインドのモディ首相がモスクワを訪問してプーチン大統領とハグをした写真を公開した後、ゼレンスキー大統領が噛みつくようにXでインド批判を行ったことで、さらに加速するかと思います(インドは激怒するかと思いきや、完全スルーでゼレンスキー大統領をもう相手にはしていない様子が覗えます)。

以前もお話しした国際協調体制は終焉し、“力あるものが世界を制する”新しい国際秩序が生まれつつあるように見えます。

(メルマガ『最後の調停官 島田久仁彦の『無敵の交渉・コミュニケーション術』』2024年7月12号より一部抜粋。続きをお読みになりたい方は初月無料のお試し購読をご登録下さい)

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