〈──いままでの強みを生かしながら改革を進めていかれた。〉
〈武田〉
そして三つ目が、マーケティングとブランディング。
この新宿 北村写真機店の立ち上げもその一つですが、同じ新店舗をつくるならカメラといえば新宿。新宿にカメラを見に行くなら必ず北村写真機店に行ってみよう! と思われる店をつくろうと思いました。
そして、テレビCMもこれまでよりも社員が誇りを持て、企業イメージが上がりユニークなものを企画してもらいました。そうすると自然と社員のモチベーションも上がるわけです。
四つ目は社員の働き方改革です。
それぞれの店舗ごと、各人ごとに業績評価指標を設定し、目標設定を明確にしました。その中で業務のマルチタスク化は大きな成果があったと感じます。
例えば、カメラのキタムラとスタジオマリオを別々のスタッフが運営するのではなく、どちらのスキルも身につけてもらい、マルチタスクを通してお互いに技術やサービスを高め合っていく。これによって接客の質も生産性もお互いの理解も向上しました。
この構造改革フェーズで減収ながらしっかりと利益体質が確立できました。
会長に就任した2017年は全体の売り上げは減収したものの、増益・黒字化を実現。北村さんとの約束の通り雇用も守り、同じメンバーで再建に導くことができたのは、ひとえに頑張ってくれたキタムラの皆のおかげです。最初の数年は減収増益が続きましたが、ここ数年は確実に増収増益に転換し右肩上がりを続けています。
★本記事は月刊『致知』2023年5月号「不惜身命 但惜身命」一部抜粋・編集したものです。
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