パリ五輪“生首ギロチン開会式”本当の大問題は何か?小林よしのり氏が疑問、なぜ日本の「保守」も「リベラル」も黙っているのか

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ギロチンで切り落とされたマリー・アントワネットの首が歌い出すという衝撃的な演出が話題となったパリオリンピック開会式のパフォーマンス。まさに全世界で賛否両論噴出の事態となっていますが、『ゴーマニズム宣言』等の過激な作品で知られる漫画家の小林よしのりさんはどのように受け止めたのでしょうか。小林さんは今回のメルマガ『小林よしのりライジング』で、「フランス人があの表現を誇りと思っていることが問題」と指摘。その上で、今大会の開会式の「何を批判すべきか」についての考察を行っています。
※本記事のタイトル・見出しはMAG2NEWS編集部によるものです/原題:パリ五輪斬首の何を批判すべきか?

パリ五輪「マリー・アントワネット斬首ショー」の何を批判すべきか?

パリ五輪開会式における「マリー・アントワネットの生首」の演出が物議をかもしている。

ところが日本の「識者」からは、ろくな批評が出て来ない。中には「常識人に不快感を与える」から表現として芸術として良かっただの、「マンネリ化していたのがすべて吹っ飛んだ」だのと、狂っているとしか言いようのない評価まで出てくる始末である。

開会式のショーはそれぞれテーマがつけられた、いくつかのパートに分かれていて、問題のシーンは「Liberte」(リベルテ=自由)と題されていた。

フランス革命の際、王妃マリー・アントワネットがギロチンにかけられるまで実際に投獄されていた建物「コンシェルジュリー」の窓に、自分の生首を抱えたマリー・アントワネットが立つ映像が映り、その生首がフランスの革命歌『サ・イラ』の冒頭を歌う。

それに続いてデスメタルバンド・gojira(ゴジラ)がその続きを爆音で演奏し、コンシェルジュリーが真っ赤な砲火に包まれる。

クライマックスには、あちこちの窓からギロチンの血しぶきを表現した真っ赤な紙テープが噴射され、ジャンヌ・ダルクに扮した女性が、その血を浴びながら気持ちよさそうに革命歌を歌う…というのが、そのショーだった。

泉美木蘭さんがブログで紹介してくれたが、マリー・アントワネットの生首が歌っていたのは、こんな歌詞だ。

Ah! ca ira, ca ira, ca ira
les aristocrates a la lanterne!
Ah! ca ira, ca ira, ca ira
les aristocrates on les pendra!

ああ!うまくいく、うまくいく、うまくいく
貴族どもを街灯に吊るせ!
ああ!うまくいく、うまくいく、うまくいく
貴族どもを縛り首にしろ!

パリ五輪の開会式でマリー・アントワネットの生首が歌う。

このあとgojiraとジャンヌ・ダルクが原曲の通りに歌ったかどうかはわからないが、「サ・イラ」の歌詞はこう続く。

吊るすのでなけりゃ
奴らを壊そう
壊すのでなけりゃ
奴らを燃やそう
ああ!うまくいく、うまくいく、うまくいく
貴族どもを街灯に吊るせ!
ああ!うまくいく、うまくいく、うまくいく
貴族どもを縛り首にしろ!

われらはもはや貴族も聖職者ももたぬ
ああ!うまくいく、うまくいく、うまくいく
平等があまねく支配するだろう
オーストリアの奴隷もこれに従うだろう
ああ!うまくいく、うまくいく、うまくいく
そしてそれらの忌々しき連中は
地獄に落ちるだろう
ああ!うまくいく、うまくいく、うまくいく
貴族どもを街灯へ吊るせ!
ああ!うまくいく、うまくいく、うまくいく
貴族どもを縛り首にしろ!
そして全員を吊るしてやったら
奴らのケツにシャベルを突き刺してやれ

● パリ五輪の開会式でマリー・アントワネットの生首が歌う。

これが、フランスが「Liberte」と題して全世界に披露したショーなのだ。

フランス人にとって「自由」とは王妃をギロチンにかけ、貴族や聖職者たちを血祭りに挙げたことをいうのである。

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