京都大学iPS細胞研究所教授が、ジャパネット創業者に語った「新しいがん治療」

Kyoto,,Japan,-,16,March,2023?kyoto,University,,Institute,Of,Medical
 

山中伸弥さんのノーベル賞受賞で話題を集めたiPS細胞。それをがん治療に応用するために日々奮闘している人たちがいます。そのおひとりである京都大学iPS細胞研究所教授の金子新さんが、あのジャパネットたかた創業者の高田明さんと対談した内容を無料メルマガ『致知出版社の「人間力メルマガ」』で紹介しています。

「貫くものを」京都大学iPS細胞研究所教授、金子新×ジャパネットたかた創業者、高田明

『致知』最新号「貫くものを」が発刊されました。

表紙を飾っていただいたのは、がん治療の新しい地平を切り開かんと奮闘する京都大学iPS細胞研究所教授の金子新さんです。ジャパネットたかた創業者の高田明さんと物事を成就する秘訣、これまでの研究人生を貫いてきたものについて語り合っていただきました。

本日はその注目のトップ対談の一部をご紹介します。

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〈高田〉 
金子先生が取り組んでおられる研究について教えてください。

〈金子〉 
私たちはiPS細胞から免疫細胞の一種であるT細胞を作製し、がんの治療法に応用するという研究を行っています。

iPS細胞は2006年に山中先生が世界で初めて作製に成功しました。生体組織から得た細胞を遺伝子操作で若返らせることによって、あらゆる生体組織や細胞に成長できる能力を持つようになる万能な細胞で、ほぼ無限に増やせる上に、様々な機能を追加したり強化したり除去したりする調製も簡単にできます。

T細胞は体内に侵入した細菌やウイルスなどの病原体やがん細胞などを認識して攻撃し、排除することができます。

T細胞は自分の細胞と自分以外の異物を見分けるレセプター(受容体)を持っていて、一つのT細胞が認識できる標的は一種類のみ、T細胞ごとに認識できる標的は異なります。

そこで患者さんの体の中でがん細胞と戦っているT細胞、すなわちがんを見分けるレセプターを持つT細胞をがん組織や血液から取り出して、それをiPS細胞にして増やし、再びT細胞に分化させて体内に戻す。これが私たちの目指す個別がん免疫再生治療です。

そして、その個別治療用T細胞の製造工程を簡便な操作で実行できるようにする小型自動培養装置「MyT-Server(マイティーサーバー)」の開発をパナソニックさんと共同で進めています。

〈高田〉 
この治療法はどんながんに効くんですか?

〈金子〉 
当然やっつけやすいがんとやっつけにくいがんがあります。日々実験を続けている最中なんですけど、基本的に患者さんから採ってきた実際にがん細胞と戦っているT細胞からつくったiPS細胞、あるいはそのT細胞のレセプターの遺伝子情報だけを抜き取って埋め込んだiPS細胞からT細胞を分化誘導するので、理論的には患者さんが罹っているがんを見分けて効いてくれます。

ところが、がん細胞というのはお城みたいなもので、本丸に辿り着くまでに堀や石垣があり、結構頑丈に守られているんです。ですから、仮に裸になったがん細胞がいて、T細胞という兵隊が来たら簡単にやっつけられるんですが、塀や石垣を越えていくというところは、やはりいろいろな工夫をしなければいけません。

その点、iPS細胞からつくった免疫細胞は、堀や石垣を越えていくためのいろいろな機能をつけやすいんです。

それをいまリアルタイムで実験を重ねながら、「MyT-Server」にどんどん落とし込んでいます。そういうわけで、最初から「全部治せます」とはなかなか言いにくいんですけど、最終的にはどんながんでも治療できると思っています。

※全文は最新号「貫くものを」でご覧ください。
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【著者】 致知出版社 【発行周期】 日刊

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