大規模暴力事件があった地域では「関与していない住民もPTSDを発症する」という研究結果

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大規模な暴力事件があった地域では、その事件に本人が直接関与していなかった場合でもPTSDの発症が多くなるという研究結果が発表されました。今回のもりさわメンタルクリニックの無料メルマガ『精神医学論文マガジン』が詳しく紹介しています。

大規模な暴力事件があった地域でのPTSD

◎要約:『(直接の関与はなくても)大規模な暴力事件があった地域では、PTSDの発症が1/4程度の住民に及ぶ可能性がある』

今回は、アメリカの大量殺人等、大規模な暴力事件があった地域におけるPTSDについて調べた研究をご紹介します。

大規模な暴力事件があった地域でのPTSD
Posttraumatic Stress Disorder Among Adults in Communities With Mass Violence Incidents

2015~2019年に大規模な暴力事件のあったアメリカの都市(オハイオ州のデイトン、テキサスのエルパソ、フロリダ州のパークランド等)に住む住民5,991に対して、2020年に調査を行いました。

結果として、以下の内容が示されました。

・回答者のうち21.0%が、暴力事件に関する大きな影響を受ける条件(本人か友人、家族が現場にいた条件)がありました。

・23.7%が回答の前年におけるPTSDの診断基準を満たし、8.9%が回答の時に基準を満たしていました。

・女性であること(オッズ比2.32倍)、身体的・性的暴力・外傷的出来事の既往(9.68倍)は、PTSDの発症と関連していました。

(論文中でも述べられているように)現場にいて直接の関連があった住民以外にも、PTSDに関するケアが必要である可能性が考えられる内容でした。

image by: Shutterstock.com

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