東京湾岸エリアは開発が進みタワーマンションが多く建てられています。しかし、人口の構成があまりにもいびつになっていることによる弊害も起こるのではないかと、識者は指摘します。今回のメルマガ『まんしょんオタクのマンションこぼれ話』では、一級建築士及びマンション管理士の廣田信子さんが、豊洲の「40年後の未来」について憂いています。
人口構成が歪な豊洲地区の40年後は
こんにちは! 廣田信子です。
あまりに暑い夏休み、車がいいと思い湾岸エリアに出かけました。
タワーマンション等が建ち並んでいる豊洲地区を中心に、月島・勝どき、東京オリンピックの選手村跡地に建設された晴海フラッグをゆっくり見てきました。
ナビをセットして目的地に向かうという乗り方で、ゆっくり周辺を巡ることは無かったと改めて思いました。
私は、40年前、豊洲駅から近い、大々的に宣伝していた500戸近い大マンションにいました。
保育園は豊洲で、豊洲の交差点のところは、石川島播磨重工業の大きな工場があり、大公園以外何もないところでした。
そこは8年ほどで引っ越しましたが、4LDKの広い間取りが気に入っていて、今も健在です。
その後、有楽町線豊洲駅が伸張し、06年に「ららぽーと豊洲」がオープンし、土地があったのが大きく、それより高層オフィス、高層マンション、タワーマンションが急速に増加しました。
それによって、豊洲の人口は、21年1月現在、37,772人、世帯数16,099世帯となり、15年間で3倍近くになりました。
17年の江東区の調査では、圧倒的に30歳代、40歳代の人が多く、9歳以下の子供も非常に多くなっています。
さらに、その後も大規模なタワーマンションが造られています。
その状況ですから、小学校はデベロッパーがお金を出して新たにつくっています。
この歪な人口構成は、今後も続きます。
40年たつと70歳代、80歳代の方がもの凄い勢いで増えます。
日本の人口減少は進み、働き盛りの人や子供の数がぐっと減って、高齢者の数が多いという未来の状況は変わりません。
あと40年、50年がたったらこのタワーマンションはどうなっているのか、豊洲の勢いはいつまでつづくのかと思います。
このもっと先に有明地区、勝どき地区等に大規模なタワーマンションが乱立しています。
「晴海フラッグ」も本当に人が暮らすのか心配されています。
豊洲地区も、すでにかなりの高額マンションになっています。
そして働き盛りの人たちの人口はどんどん減っていきます。
豊洲のマンション群は、40年後、外国人が多く所有する街になっているかもしれません。
40年前のマンションが超高層で目立たなくなるように、豊洲の街の住民も変わるのではないかという気がします。
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