WHOが定義している高齢者は65歳以上で、日本では3625万人と人口の約3割を占めるようになりました。とは言え“現役”の65歳以上は多く、日本では高齢者の定義も世界に先駆けて変えるべきと主張するのは、健康社会学者の河合薫さんです。今回のメルマガ『デキる男は尻がイイ-河合薫の『社会の窓』』では、「准高齢者」「高齢者」「超高齢者」の区分を提言。飲酒と老化に関する新たな研究結果についても紹介し、90歳以上の健康な「超高齢者」を目指すには、“飲酒習慣”を“飲酒イベント”に変えるなどの工夫が必要と伝えています。
「准高齢者」の時代到来!
総務省によると、65歳以上の高齢者は過去最多の3625万人で、人口に占める高齢者の割合は29.3%で、こちらも過去最多です。男女別では男性が26.1%、女性が32.3%となっています──。
こういったニュースはかつて「社会」の問題でした。が、今は「私」の問題に近づきつつあります。そんな中違和感を抱くのが「高齢者の定義」です。かねてから高齢者=65歳以上と定義し続けることには異議を唱えてきました。高齢者問題「私」にちかづくにつれ、やはりそろそろやめた方がいいのではないか、と。なにせ70歳まで働くのがめずらしくない時代です。
2025年4月から全ての企業で「65歳以上の雇用確保」が義務付けられますし既に、70歳まで働けるようにすることが企業の努力義務になっています。たとえWHOが65歳以上を定義していようとも、超高齢社会のトップランナーとして、日本は世界に先行して変えていいと思うのです。
17年1月には日本老年学会・日本老年医学会が、65~74歳を「准高齢者」、75~89歳を「高齢者」、90歳以上を「超高齢者」とすることを提言しています。数年前までの「80歳の壁」が、いまや「90歳の壁」です。健康寿命がのび1990年代に比べ、10歳ほど若返っていると言われているのです。
むろん、どんなに寿命が延びようとも、どんなに健康体を維持しようとも、加齢に伴い個々の細胞は老化し、脳や心臓、肺などの臓器、筋肉、目、耳、口、歯、皮膚、神経など体は確実に変化していきますから、生活習慣をスローダウンさせる必要はあります。
いわゆる「老化」に関する研究は世界各地で行われていて、日々「新しい発見」が蓄積されています。そんな中、最近話題になったのが「老化と飲酒」に関する研究です。
例えば、年を取ると「お酒に弱くなったなぁ」と感じる人は多いと思いますが、そのメカニズムの引き金になるのが、加齢による体脂肪の増加です。
3~10歳の子供の場合、水分量が体内に占める割合は体重の62%程度です。その後、男性の場合は60歳まで変化がないものの女性は徐々に減少し、61歳以降は男性で57%、女性で50%にまで落ち込みます。その原因となるのが、体脂肪の増加なのです。体内の水分量が減ると、血中アルコール濃度がより上がりやすくなり、認知機能に大きな影響を与えてしまいます。
この記事の著者・河合薫さんのメルマガ