「移民がペットを食べている」だけじゃない。トランプ前大統領の大問題発言とは?

National,Harbor,,Md,,Usa-,February,24,,2024:,Donald,Trump,Speaks
 

9月10日の米大統領選テレビ討論会で、トランプ前大統領による「移民たちが住民のペットを食べている」との事実に基づかない発言が物議を醸しました。この暴言同様、疾患者への偏見と差別による発言があったと憤るのは、生きづらさを抱える人たちの支援に取り組む引地達也さんです。今回のメルマガ『ジャーナリスティックなやさしい未来』では、トランプ氏の差別的な思想を受け入れてしまう人が、友好国である米国民の半数近くもいることを嘆きます。そのうえで、日本でも過去に同様の偏見が当事者たちを苦しめた歴史があることを振り返り、共生社会実現の歩みを止めてはならないとの思いを伝えています。

公開討論会で飛び出したトランプの「差別」発言。許されぬ根拠のない疾患者への差別と排除

米国大統領選に向けた民主党候補ハリス副大統領と共和党候補トランプ前大統領の初めての公開討論会で飛び出したトランプ氏の「精神病患者」に関する発言に、不快な思いをした人は少なくないだろう。

トランプ氏が短絡的に「疾患者」を迷惑な人と見なす、その根底にあるだろう価値観を強弁するのには慣れたような気がするが、それを受け入れている人がいることに悲しさを覚えてしまう。それが、同盟関係にあり、友好国である米国の国民の約半数が賛同しているか、もしくはトランプ氏を支持するあまりに、受け入れていることを考えると、切なくなる。

日米や先進国が同じ人権感覚をもとにした社会保障の考え方を共有し、国際社会は少しずつ障がい者や疾患者と共に生きる社会を描き、その行動を促し、そして実行してきたはず。米国を偉大な国にする公約に賛同するのはよいが、精神疾患者を除け者にする主張は受け入れてほしくないものだ。

トランプ氏の発言は、バイデン政権が「中流階級にとって、すべての階級にとって大惨事だった」と切り出した上で、こう続けた。

「刑務所や精神科系病院、病院から何百万人もの人々が私たちの国に流れ込んでいる。彼らは入ってきて、アフリカ系米国人やヒスパニック系、労働組合が占めている仕事を引き受けている。労働組合はすぐに影響を受けるだろう」
(This has been a disaster for people, for the middle class, but for every class. On top of that, we have millions of people pouring into our country from prisons and jails, from mental institutions and insane asylums.And they’re coming in and they’re taking jobs that are occupied right now by African Americans and Hispanics and also unions.Unions are going to be affected very soon.)

移民の流入を問題化するだけではなく、その移民が犯罪者や疾患者であり、それらの人々が米国人の仕事を奪うとの主張には、強い悪意がある。この討論会では移民がペットを食べている発言をめぐってのファクトチェック行われたが、疾患者に関する発言も、情報源は不明のままだ。

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