辻元清美に『国対委員長』(集英社新書)という体験記がある。辻元は2017年に立憲民主党の国会対策委員長となったが、相手は森山だった。
森山は、辻元が親しかった山崎拓が率いる山崎派に属していた。当時は安倍晋三首相、菅義偉官房長官の強権内閣である。それで森山に無理を言ってくる。
自民党が野党だった時、自民党の要求で、質問時間は与党が2で野党が8の割合になっていたのを、5対5にしろと言うのである。
菅は「議席数に応じるのは国民からすればもっともだ」などと、民主主義のイロハも弁えない放言をする始末。要するに加計学園問題などを追及されたくない自民党が野党の質問時間を減らそうとしたのだった。安倍や菅に森山は抵抗できない。
あまりの理不尽に怒った辻元は森山の属する山崎派の事務所に乗り込んだ。たまたま、顧問の山崎がいて、「夜遅くまでご苦労さん。5対5なんて聞いたことがない」と辻元をねぎらい、「国会の長い歴史の中で、与党に質問時間を半分よこせ、などという話は一度もなかった。安倍総理はよっぽど疑惑を追及されるのは嫌なのか。自信がないのか。総理大臣として野党の質問を堂々と受けて立たなければ」と続けた。
そばにいた森山は苦笑いしていたという。苦労人と言われる森山に大胆な改革を求めることはできないだろう。その森山に石破は安倍と違った対応を指示できるのか。
辻元が森山と初めて言葉を交わしたのは、2012年に鶴岡市で行われた加藤紘一の母親の葬儀でだった。
多分、自民党の政治家はその席に少なかったと思うが、森山には加藤を慕うハト派的な側面もあるということか。私はタカと闘わないハトは存在意義がないと思うが、森山は高市早苗らと闘うハトかどうかである。
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