欧米先進国の関わる「戦争」が不穏な空気をまき散らす中、穏やかな雰囲気を醸し出した“ロシア第8の都市”

 

ちなみにG7の人口の合計は世界の総人口の10%である。

こうした数字をみれば明らかだが、その中心にいるのは中国であり、インドだ。

今回のBRICSで大きな焦点となったのも、中国とインドであった。両国首脳が約5年ぶりというバイラテラルな首脳会談を行ったからである。

国境問題を抱える中国とインドは、2020年、インド北部のラダック地方で軍同士の衝突が起きて以降反目を続けてきた。だが今回、4年間続いた軍事的膠着状態を終わらせることで双方が合意。係争地でのパトロールに関する取り決めにも合意して緊張緩和に向けて動き出したのである。

中印は、これにより話し合いで国境紛争を解決できる力を世界に見せつけた形となったのだが、それ以上に興味深いのは両国が和解のプロセスに入ったことをBRICSに向けて調整してきた点だ

習近平国家主席は、会議での演説で「我々は『平和のBRICS』を構築し、共通の安全保障の維持者たる必要がある」と語ったが、インドとの和解は、この言葉に説得力を与えている。

中ロ関係も同様に「2つの大国の安定した関係は世界の安定に資する」という考え方だ。

世界平和への貢献にも積極的だ。

BRICSはすでに2023年11月、パレスチナ問題で首脳間の特別テレビ会議を開き、立場の協調を図っている。また2024年5月には中国とブラジルが「ウクライナ危機の政治解決のための共通認識」を発表している。

背後にあるのは、欧米式の「一方の悪を裁く」秩序ではなく、紛争や対立の不利益の強調だ。そのことは習近平が言及した「グローバル・サウス諸国の未来に対する共通のビジョンと核心的な要求」に集約されている。

曰く、「戦乱ではなく平和を、貧困ではなく発展を、閉鎖ではなく開放を、対抗ではなく協力を、分裂ではなく団結を、いじめではなく公平を」だ。

(『富坂聰の「目からうろこの中国解説」』2024年10月27日号より一部抜粋。続きにご興味をお持ちの方はこの機会に初月無料のお試し購読をご登録ください)

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1964年、愛知県生まれ。拓殖大学海外事情研究所教授。ジャーナリスト。北京大学中文系中退。『週刊ポスト』、『週刊文春』記者を経て独立。1994年、第一回21世紀国際ノンフィクション大賞(現在の小学館ノンフィクション大賞)優秀作を「龍の『伝人』たち」で受賞。著書には「中国の地下経済」「中国人民解放軍の内幕」(ともに文春新書)、「中国マネーの正体」(PHPビジネス新書)、「習近平と中国の終焉」(角川SSC新書)、「間違いだらけの対中国戦略」(新人物往来社)、「中国という大難」(新潮文庫)、「中国の論点」(角川Oneテーマ21)、「トランプVS習近平」(角川書店)、「中国がいつまでたっても崩壊しない7つの理由」や「反中亡国論」(ビジネス社)がある。

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