危険な本。カルト宗教の教祖たちがどんな「言葉」を使って信者を洗脳してきたのか説明しよう

 

さっそく、本文の中から気になる部分を赤ペンチェックしてみましょう。

ルルレモン創業者チップ・ウィルソンの言葉
「依存症の人と熱狂的なアスリートにほとんど違いはない」
「いつか来る自分自身の終末を思い浮かべよう」
「お金より友達が大切」

ほんとうの答えは、最終的には「言葉」だ。つまり、話し方。既存の単語を巧みに再定義した言葉から(新しい単語を考え出すこともある)、迫力のある婉曲表現、暗号、改名、キャッチフレーズ、チャント(詠唱)、マントラ、異言、沈黙の強制、さらにはハッシュタグまで、言語が重要な手段となって、あらゆるレベルのカルト的な影響が生じる

道徳的なカルト集団は自分たちが何を信じているか、何を求めるか、メンバーに何を期待しているかに正直である点を挙げることができる。そして、集団を抜けても深刻な結果になることはほとんどない

神経学者によれば、集団での詠唱や歌唱といった意識を超越した絆をもたらす儀式に参加すると、私たちの脳内にドーパミンやオキシトシンといった快感をもたらす化学物質が分泌される

メンバーの献身、英雄崇拝、絶対的信頼が揃うと力関係に不均衡が生じ、多くの場合は説明責任のないリーダー側が権力を乱用するようになる

有名なスタンフォード大学の心理学者アルバート・バンデューラによる一九九九年のよく知られた研究で明らかになったように、被験者を非人間化する言葉(たとえば動物の名前)で呼ぶと、実験の参加者はためらわずにその人に電気ショックを与えるようになる

相手を強烈に承認し、のちにそれをコントロールに変えてしまう手法を、一部の社会科学者は「愛情攻勢」と呼んでいる

カルト語の「3つの働き」
・相手に自分は特別で理解されていると感じさせる
・異なる一連の言語戦略が指導者に依存する感情を生み出し、集団の外で暮らすことはもう不可能だと思わせる
・言葉はそれまでの現実、道徳規範、自意識とまったく相容れないような行動をとるように説得する

カルト語で第一に重要な要素は何だろうか? それは、「私たちと他の人たち」という二項対立を生み出すことだ

グロッソラリアとは、人が宗教的な恍惚状態になったときに、意味不明な、知らない外国語のように聞こえる言葉を発すること

グロッソラリアが信仰心を強める

人は異語を話すと暗示にかかりやすくなる

タイムリーなことに、ドナルド・トランプ氏の大統領当選が決まりましたが、本書では、トランプ氏に影響を与えたカリスマ自己啓発家とMLM、そしてトランプ氏がそれらとどう絡んでいたかなども書かれています。

民間企業も含め、あらゆるカルト的集団を俎上に載せているので、取り上げられた組織のメンバーは、ビクビクしながら読むことになると思います。

あまりに面白くて、一気に読んでしまいました。

これは「買い」の一冊ですね。

image by: Shutterstock.com

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Amazon.co.j立ち上げに参画した元バイヤー、元読売新聞コラムニスト、元B11「ベストセラーBookV」レギュラーコメンテーター、元ラジオNIKKEIレギュラー。現在は、ビジネス書評家、著者、講演家、コンサルタントとして活動中の土井英司が、旬のビジネス書の儲かる「読みどころ」をピンポイント紹介。毎日発行、開始から既に4000号を超える殿堂入りメルマガです。テーマ:「出版/自分ブランド/独立・起業」

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【著者】 土井英司 【発行周期】 日刊

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