非日常な雰囲気に価値を感じる欧米人、高い技術そのものに価値を見出す日本人。ラグジュアリーと匠の違いはココだ!

 

3.インバウンド需要と海外展出展

日本が好きで、日本に観光に来る西欧人は、日本の商品を購入する。これは、思い出のための購入だ。したがって、外国人観光客に積極的にアプローチするのは正しい。

しかし、インバウンドの増加は日本人気が高まったこと、日本製の商品の輸出が増えるに違いないと考えるのは安易だ。

例えば、日本ではハワイ観光が人気だが、アロハシャツの着用には結び付かない。また。アロハシャツを購入するときに、ハワイで生産しているか否かを気にする人は少ないだろう。商品としての魅力が優先されるからだ。

同様に、欧米からのインバウンドが日本で商品を購入しても、それが日本製でも中国製でも気にしないだろう。

本気で欧米市場を攻略するなら、欧米人のライフスタイルや嗜好を理解し、現地の顧客が生活の中で使用できる商品でなければならない。リサーチも市場分析も行わず、日本の商品を輸出しようというのは余りにも無謀である。

確かに日本には素晴らしい技術がある。その技術を駆使してどんな商品を開発すべきかが問われるのである。

■編集後記「締めの都々逸」

「どんなに凄い 技術としても それを活かせぬ こともある」

産地に行くと、「うちの技術は世界一だ」という人がいますが、意外に世界を見ていません。そう思いたいのは分かるし、確かに凄い技術ですが、それで凄い商品ができるわけではありません。

生産中止になった古い機械を自慢する人もいますが、やはり最新の機械の方が儲かる商品が作れたりします。最終的には商品が勝負を決します。

技術を自慢する人は危ないのです。商品を自慢してください、と思います。そして、商品を作るのは機械だけではありません。優秀なデザイナーやスタッフが不可欠です。(坂口昌章)

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