「ラスボス」は過大評価、宮澤自民税調会長の正体。実態は財務省配下の小ボス…103万円の壁バトルで敗北を悟り震えている

 

宮澤氏は「ラスボス」どころか自身の敗北を悟っている?

ところで、今回の「103万円の壁」をめぐる交渉において、宮澤氏は「ラスボス」といえる存在だったのだろうか。

この国民民主党の政策は、人々の手取りを増やし、景気を良くするという二重の効果が見込まれるものだ。しかし、「103万円の壁」を178万円に引き上げれば7~8兆円も税収が減るという理由で、宮澤税調は引き上げ幅を抑えにかかり、178万円にはるかに及ばない123万円を国民民主党に提示した。ここまでは財務省の思惑通りだ。

だが、12月20日に決定された来年度の与党税制改正大綱には、相矛盾する二つの文言が盛り込まれた。一つは「年収103万円の壁」を123万円に引き上げるという提示済みの内容。自公国の幹事長間の合意を無視し、国民民主の同意を得ずに見切り発車したように思える。

そして不思議なことに、この大綱には「178万円を目指して、来年から引き上げる」「自民・公明両党として、引き続き、真摯に協議を行っていく」と三党幹事長間の合意内容も書き込まれている。

これはどういうことなのか。税調は123万円に引き上げることを決定し、三党の幹事長は178万円をめざして引き続き協議する。それが同じ大綱の中に記載されている。

ひょっとして、この大綱の作成をもって税調の役割が終わり、これからは政治的にどう決着させるかの段階に移るということではないのだろうか。

だとすれば、宮澤税調に国民民主党が押し切られたのではなく、石破首相や森山幹事長がいまもなお宮澤税調を「軽量」と見なし、税調の出した結論に縛られないですむ文言を大綱に書き加えたと見るのが自然だ。

宮澤氏は会見で、悔しまぎれにこう漏らした。

「玉木雄一郎代表(役職停止中)と榛葉賀津也幹事長の会見が大変人気があるようで、私どもも対抗できるようなSNS上の働きかけをこれからはしていかなければならない」

人は何によって心を動かされるのか。ことの本質を理解していないようだ。宮澤氏は危険な真面目さを持ってはいるが、「国民の敵」と見なすべき重要人物とは思えない。心ひそかに馬鹿にしておればいいだけのことだ。

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