そもそも、今回の会議はなぜ12月27日に閉幕したのだろうか。
翌28日、金正恩は咸鏡南道に赴き、新浦市海洋養殖事業所の竣工式に出席してテープカットを行っている。昨年1月に掲げられた地方発展プラン「地方発展20×10政策」の第一弾を、年が明ける前にお披露目しておきたかったのだろう(更に言えば、会議開幕の直前にも平安南道成川郡の地方工業工場竣工式にも出席している)。肝いりの当該政策に相当注力していることが窺えるが、一年に20か所ずつ地方工場を建て、10年以内に地方の落伍性を払拭するという野心的なプランの実現には、カネも技術もいる。
翌29日には2025年6月の開業を控える元山のビーチリゾート「葛麻海岸観光地区」を娘と共に視察した(公式メディアがこれを報じたのは大晦日である)。これを機に、北朝鮮観光が大幅に緩和される可能性もあるにはあるが、当面、観光客の誘致対象となる国は限られてくるだろう。
さまざまな事象を重ね合わせて俯瞰するだけでも、2025年の北朝鮮が「いかなる方向に進む」のか、「何をどのようにするのか」が自然に浮かび上がる。曖昧な北朝鮮の公式報道からでも、読み取れることは多いのだ。(宮塚コリア研究所 専門研究員 新井田実志)
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