トランプ「米にケンカ売る国は容赦しない」の本気度。世界を火の海にしかねぬ“トランプ2.0外交”の大混乱

 

「トランプ2.0」外交の方向性が試される2つの戦争停戦の成否

トランプ大統領は就任前のコメントで再三、「自分が大統領である限りは第3次世界大戦にはならない」と豪語していますが、本当にそれを叶えるのであれば、ロシアとウクライナの戦争を早期に収め、イスラエルに自制を促し、同時にイランを威嚇するのではなく、緊張緩和を努めるようにしないといけないでしょう。

そして計画にはないでしょうが、そのすべてにアメリカ政府が直接的に絡み、良し悪しの評価は分かれますが、かつてのように“国際秩序の守護神”として(世界の警察官?!)世界各地に出没しなくてはならないでしょう。

もしそれが出来れば、世界の混乱している通商網および海上輸送の安全が再度確保されるようになるでしょうし、エネルギーや食糧の安全保障体制も整備され安定することになりますが、クリントン政権から始まり、ブッシュ政権下でのGlobal War on Terrorを除いて、オバマ、トランプ、バイデンと続いてきた“アメリカ軍の世界からの撤退”の方針を覆すのは、なかなか容易ではないと思われます(米軍当局と軍需産業は恐らく手放しで喜ぶでしょうが)。

トランプ政権の方向性が試されるのが、もうすぐロシアによるウクライナ侵攻から3年が経とうとしている“ウクライナ戦争”の停戦をどうするのかということと、イスラエルの暴走をどのように扱い、中東情勢を落ち着かせるのか、という“二つの戦争の停戦に関わるディール・メイキング”の成否です。

どちらの案件に対しても「自分が大統領に就任したら24時間以内に解決」と豪語してきましたが、今年に入って“6か月以内に”と若干トーンダウンしていますが、就任を前にロシア、ウクライナ、イスラエルなどとやり取りを行う中で、状況が思いのほか、複雑であることを認識したのではないかと思われるものの、具体的にどう解決するのかについては、まだまだ不透明なことが多く、それが多くの懸念と思惑を生み、不必要な戦い・戦闘も生み出しているように見えます。

ロシアとウクライナの戦争については、トランプ大統領がどのような采配をするか分からない中、ロシアもウクライナも、トランプ政権が始動し、停戦協議が開始されるまでに、可能な限り支配地を拡げたいと考えて、ロシア・ウクライナ戦線の前線では苛烈な戦闘が繰り広げられています。

日々伝えられる戦況はころころ変わり、ロシア領クルスクをロシアが挽回しているという情報もあれば、ウクライナ東部のロシア支配地もウクライナが取り返しているという情報もあり、実際に何がどのようになっているのかは要調査ですが、それが分かりづらくなるほど、刻々と戦況が変わり、有利不利が入れ替わる状況なのではないかと思われます。

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