中島聡が中国製AI「DeepSeek-R1」に受けた衝撃と時代の大変化。私たちは「知的労働のコストがゼロになる」瞬間を目撃している

 

私たちは「知的労働のコストがゼロになる」瞬間を目撃している

少し前に、このメルマガで「AIの進歩により、知的労働のコストが限りなくゼロに近づく」と言いましたが、まさにその現象が私たちの目の前で起こっているのです。

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ちなみに、DeepSeekを作ったのは、High-Flyerという名の中国のヘッジファンドです。ヘッジファンドとは言え、設立したのは浙江大学(Zhejiang University)を卒業したエンジニアたちで、AIの力を使って株の取引をして利鞘を稼ぐことを目指して作られたそうです(設立は2019年)。

DeepSeekは、High-Flyerの子会社として2023年に設立されましたが、外部からは資金は調達しておらず、全ての運営資金はHigh-Flyerから提供されています。

High-Flyerは、2021年に1万台のNvidia A100 GPUから構成されるAIスーパーコンピュータを構築し、その上で動くAIで株の取引を目論んでいましたが、うまく行かなかったようです。経緯から考えると、その資産をDeepSeekで活用していると私は解釈しています。

DeepSeekは、2024年5月にDeepSeek-V2を発表しましたが、その際のAPIの価格設定が桁違いに安かったため、ByteDance、Tencent、Baidu、Alibabaなどのライバル企業は、価格を大幅に下げなければならなくなりました。

【追記】
この記事を書いている過程で、もう一つ、”Kimi k1.5“と名付けられた「考える力を持つLLM」が別の中国ベンチャーから発表されたことを知りました。DeepSeekのように完全なオープンソースではまだないようですが、しっかりとした論文、SCALING REINFORCEMENT LEARNING WITH LLMSも公開されています。

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