グーグルやマイクロソフトが法人向けのAIサービスを提供するなか、楽天モバイルもその波に乗りました。今回のメルマガ『石川温の「スマホ業界新聞」』ではケータイ/スマートフォンジャーナリストの石川さんが、楽天モバイルから発表された「Rakuten AI for Business」について詳しく語っています。
楽天モバイルが法人向け生成AIサービス「Rakuten AI for Business」を開始—-月額1100円で、試験的に導入するも挫折した企業を狙う
楽天モバイルは法人向け生成AIサービス「Rakuten AI for Business」の提供を開始した。月額利用料は1ライセンスあたり1100円。10万文字まで利用可能だ。
チャット形式でユーザーの質問に回答。メールの作成や翻訳、アイデア出しなど、ビジネスの現場で利用できる。
楽天モバイルの鈴木和洋共同CEOは、これまでのAIは導入だけでなく、セキュリティの設定や利用監視など運用面で難しく、試験的に導入しても社内利用が広がらないという課題があったという。
Rakuten AI for Businessでは楽天自身が活用してきた知見を元に、コンサルティングサービスなどを提供していくという。
楽天グループには様々なサービスがあるなか、「なぜ、楽天モバイルが提供するのか」という疑問が浮かんだが「楽天モバイルが提供すれば、ARPUのアップが見込める」わけで、赤字に苦しむ楽天モバイルにとってみれば渡りに船だったことだろう。
個人的にもうひとつ気になったのが、「他の法人向け生成AIサービスとどう戦っていくか」という点だ。
グーグルやマイクロソフトも法人向けAIサービスを提供しているが、彼らは文書作成や表計算、プレゼン作成ソフト、さらにはMeetやTeamsといったコミュニケーションツールとセットで売っているのが強みだ。
楽天モバイルは「生成サービスのみを月額1100円」という売り方なので、このあたりがどのように評価されるかが、注目といえそうだ。
安価なので、手軽に生成AIサービスを導入したい企業が飛びつくのか、一方で、社員のメールや文書作成なども含めて、まるごとグーグルやマイクロソフトのプラットフォームを活用したいと考える企業からはそっぽを向かれるのか。
楽天モバイルとしては、1月31日に開催された「楽天新春カンファレンス2025」に参加していた楽天市場に店舗を出店する中小企業や、楽天トラベルに参加しているホテルなどにRakute AI for Businessを売り込みたいのだろう。となると、他のオフィスアプリがモリモリに付属していて高価なサービスよりも、月額1100円のほうが導入しやすいのかもしれない。
さらにRakuten AI for Businessで気になったのが、どこでAIの処理をしているか、明確な回答が出てこなかったという点だ。
ここで日本やアメリカ、シンガポールなどハッキリと言及していたら、他の生成AIサービスよりも遙かに安心して使えるというアピールになったかもしれない。
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