竹内元県議の早すぎる死、日本にとって大きな損失に
竹内氏が市議会選挙に当選してからは、私は距離を置くようになりました。別に仲たがいしたわけではなく、私は一応、ジャーナリストの端くれではあったので、政治家と個人的に親しくすると、どうしても忖度が生まれてしまうからです。
また私は「脱税のススメ」などというかなり不謹慎なタイトルの本を出していたので、竹内氏に対して付き合いを遠慮したというのもあります。
竹内氏は、市議会議員になってしばらくすると県議会選挙に出て県議になりました。竹内氏が本当にやりたかったのは国政であり、いずれは国政選挙にも出たいと思っていたはずです。
竹内氏が、政治家として何をしたのか私は良く知りません。地方議会のことまでなかなか情報は回ってこないからです。が、竹内氏は、政治家を目指す人にありがちな「目立ちたがり屋の変わり者」というわけではなく、クレバーに日本の政治の問題点を把握してもいました。
竹内氏が語っていた「政治と金の問題」の根源
竹内氏は、常々こういうことを言っていました。
「普通の人が、選挙に出る場合、市議会選挙で百万円単位、県議会選挙で千万単位、国政選挙では億単位の金がかかる」
「別に不正な金の支出をするわけではなく、無名の人が自分のことを知ってもらうためには宣伝広告や事務所経費、スタッフの人件費、移動費などだけでも、そのくらいのお金がかかる」
「それだけのお金を出せる人は限られているので、どうしても国会は2世議員やタレント議員ばかりになる」
「この構造を変えなくては優秀な人材は政治の世界に入ってこない」
竹内氏のこの主張は、日本の政治の欠陥をピンポイントで言い当てているように思います。世襲議員やタレント議員が多いのは、日本の議会の大きな特徴です。
世襲議員やタレント議員を全否定するつもりはありませんが、日本の場合それが多すぎですし、今の日本の国会が「広く優秀な人材が議会に集まっている」とはとても言い難いはずです。
現在の日本の低迷も、優秀な政治家がいないということが大きな要因の一つだと思われます。
また、たびたび世間を騒がせる「政治と金」の問題にしても、その根底には「政治に金がかかり過ぎる問題」があるのです。政治に金がかかるので政治家はどうにかしてお金を集めようとします。その結果、お金を出してくれる企業や業界団体を優遇するようになります。そして、お金をたくさん集められる政治家が政治権力を持つようになるのです。
こういう「政治と金の問題」は、根本の原因である「政治に金がかかる問題」を解決しなければ、いつまで経っても解決しないのです。
筆者としては、いつか竹内氏の主張する「政治と金の根本問題」について追求する本を出したいと思っていました。なぜ政治に金がかかるのか、どうすれば政治に金がかからなくなるのか、そういう問題を真正面から、きれいごと抜き、タブー抜きでぶちあたっていく本を。いずれ、竹内氏の遺志を継いで、そういう本を出したいと思っております。








