兵庫県・斎藤知事の公選法違反疑惑をめぐり、SNS運用に関与していたPR会社に家宅捜索が入った。斎藤知事本人のほか、“2馬力選挙”を展開した立花孝志氏にも影響が及ぶ可能性がある。
ガチかアリバイ作りか?斎藤知事問題でPR会社に家宅捜索
兵庫県知事選で再選した斎藤元彦知事(47)が、選挙でのSNS運用をめぐり、公職選挙法違反の疑いで刑事告発された問題で、神戸地検と兵庫県警は7日、折田楓氏(33)が代表を務めるPR会社「merchu」の関係先を家宅捜索した。
斎藤陣営は先の知事選で、SNSでの選挙運動の報酬としてPR会社に71万5000円を渡した疑い。
PR会社の折田社長は昨年11月、斎藤陣営の選挙戦略立案や実行に主体的に関与していたことを自らのブログで“自白”している(関連記事1、関連記事2)。12月には神戸学院大学の上脇博之教授と元検事の郷原信郎弁護士が地検と県警に公選法違反(買収、被買収)の容疑で刑事告発した(関連記事3)。さらにその後、斎藤陣営がPR会社にSNS監修を依頼していたとの証言も出ていた(関連記事4)。
このニュースがテレビや新聞各紙で速報されると、SNSでは「兵庫県警、がんばれ!」「神戸地検、ありがとう」「どうか不正が正されますように、期待しています」など、家宅捜索を歓迎するユーザーらの投稿が急増した。
ただ一部では懐疑的な見方もあるようだ。ネットメディア編集デスクが指摘する。
「Xでは、『県警の対応が遅すぎる』『もう証拠は隠滅されているよ』『どうせ不起訴で終わり』『アリバイ作りの形式的なガサ入れ』といった意見が散見されます。読売の記事でも、『立件のハードルは高いとみられる』とされており、『金額が少額で、斎藤氏側の説明も合理性を欠くとまでは言えない』という捜査幹部の見解が出ているくらいですから、素直に喜べないのは無理もありません」(ネットメディア編集デスク)
神戸地検と兵庫県警は「本気も本気、大本気」との見方も
「merchu」折田社長の“公選法違反自慢”がネットで大炎上したのは昨年11月下旬。そこから3カ月近くが過ぎている。「今さら…」の声があがるのも無理からぬところか。
しかし今回、神戸地検と兵庫県警は「本気も本気、大本気」との見方もある。過去の関連記事でも話を聞いた政界ウォッチャー氏が言う。
「まず、対応が遅すぎるとの批判は、ちょっと違うと思います。他の類似事案と比べても、今回の刑事告発から家宅捜索までの時間は決して遅くないからです。日常感覚では1四半期の区切りにあたるうえ、年末年始を挟んでいるため錯覚しやすいですが、むしろ早いほうではないでしょうか。
そのうえで、今回のガサ入れは県警と地検の“合同”、これこそ“ガチ”の証拠です。そもそも『疑うに足りる相当な証拠がある』状況でなければ、家宅捜索の令状が裁判所から出ません。しかも、どちらもメンツにこだわる組織であり、一方の都合だけで“八百長”はできない状況です。これで結局『何もありませんでした』では赤っ恥をかきますので、県警も地検も相当の自信、確信、覚悟があって家宅捜索に踏み切ったと考えるのが自然です。
それから証拠の隠滅ですが、これも口でいうほど簡単ではありません。疑惑の焦点がSNS運用ということは、県警・検察は、PR会社社長のブログやSNS投稿など『誰でも見られる公開情報』だけでなく、プラットフォームから入手した非公開のログ情報などもすでに確保している可能性がある。この状況で下手に動いて矛盾が生じ、証拠隠滅が発覚すれば、逆に違法性を認識していたことになってしまいますからね」(政界ウォッチャー)